バイクの燃費は、冬になると悪くなる。
夏に比べ、20%以上も悪くなることもある。
なぜ、
冬になると燃費が悪くなるの?
そんな疑問を解消します。
冬に燃費が悪くなる原因は5つ
- 空気密度が高くなる
- 暖気が長くなる
- オイルが硬くなる
- チョイ乗りが多くなる
- タイヤ空気圧が減る
主犯が誰かは議論が分かれるが
対策出来る原因もあるので、気を付けたい
空気密度の影響は議論が分かれるけど、峠のキャブ車と同じ理由で影響ありと考える
こんな内容を知って、スッキリしよう。
冬はライダーにとって辛い季節けど、バイクにとっても辛い季節です。
だけどバイクは冬でもあなたを楽しませるために、頑張ってます。
その頑張りが、燃費に現れてるだけ。
これを読めば、バイクが愛おしくなるに違いない。
なぜ、冬はバイクの燃費が悪くなるのか?
給油したら、給油量と走行距離から燃費を計算してますか?
最近のバイクは計算しなくても、燃費を表示してくれることも多い。
夏のバイクシーズンが終わり、秋から冬になると明らかに燃費が悪くなる。
夏に40km/L走ってたのが、30km/L程度になることも珍しくありません。
バイクに燃費なんて、関係無い!
フルスロットルが命!
そんな声も聞こえて来るけど、燃費は気になります。
冬に燃費が悪くなる原因は5つ。
- 空気密度が高くなる
- 暖気が長くなる
- オイルが硬くなる
- チョイ乗りが多くなる
- タイヤ空気圧が減る
特に①空気密度の影響が大きい。
1.空気密度が高くなる
気温が下がると空気密度が高くなるので
バイクは燃料噴射量が足りないと勘違いする
夏より多くの燃料を噴射するので、燃費が悪くなる
気温が下がると空気密度が高くなります。
理科で習った『シャルルの法則』ですね。
一定物質量の気体の体積Vは、絶対温度Tに比例する
シャルルの法則
この法則により、温度が下がると空気の体積Vが減ります。
20℃の空気密度を1とすると、0℃、40℃の空気密度は、下表となります。
温度 | 空気密度 |
40℃ | 0.936 |
20℃ | 1.00 |
0℃ | 1.073 |
※株式会社八光電機 データを引用
これは、バイクの排気量(体積)は一定だけど、冬はエンジンに入る酸素量が7%増えることを意味します。
冬は気体の体積が減るので、バイクのエンジンシリンダー(例えば125cc)に送られる酸素の量が増える。
夏冬で噴射されるガソリンの量が同じだとすると、冬は酸素が多いので燃焼し切れずに酸素が残ってしまう。
残った酸素は排気ガスとしてマフラーに排出されます。
最近のバイクは、マフラー内に酸素センサーがあり、燃焼状態をチェックしてます。
酸素センサーが残ってる酸素を検知して、バイクのコンピューターに伝える。
すると、
酸素が残ってる!
ガソリンが足りないんだ!!!
バイクはガソリンが足りないと判断し、燃料噴射量を増やしてしまう。
結果的に、冬は夏より多くの燃料を噴射するので、燃費が悪くなってしまう。
単純計算で、7%酸素が増えたので7%ガソリンを増やしているとすると、7%燃費が悪化します。
これが燃費悪化の主要因と考えられる理由。
冬は空気密度が7%増えるので、7%燃料噴射量を多くしてるとすれば
7%パワーアップしてるということ
スーパーチャージャーで空気を押し込んだのと同じ状態だからね
冬限定のパワーアップカスタム?
パワーアップした分、アクセルを戻すので関係ないんじゃない?
冬は空気密度が増えるので燃料噴射の量が増えるとすれば
だから、空気密度は関係ないんじゃないの?
こんな声が聞こえそうです。
最大出力が変わるのは解るけど、『同じ60km/h一定で走る分には燃費影響しない』、という意見。
しかし、
- 同じ排気量のNA車とターボ車は、燃費が同じか?
- 125ccと150ccで燃費は同じか
どちらも答えはNo.。
空気密度が上がるのは、排気量が増えたようなもの。
パワーが有るのに使わない人はいない。
定値走行時の影響は微小だとしても、加速時にはパワーの恩恵に預るはず。
だから、空気密度の影響はある。
ここまで来ると中の人に聞くしかないのか?
キャブ車で山の上行ったことある?
燃料噴射がまだキャブレターだった頃
山の上に行くとエンジンの調子が悪くなったのも
空気密度が原因
燃料噴射がまだキャブレターだった頃を知ってますか?
燃料噴射量をアナログで制御してた時代です。
2,000m級の山の上に行くと、バイクのエンジンが咳き込んだようにノッキングをおこしてました。
これも、空気密度が原因です。
山の上は気圧が低いので、空気密度が低くなります。
高度 | 空気密度 |
0m (1013hPa) | 1.00 |
1,000m (913hPa) | 0.90 |
2,000m (813hPa) | 0.80 |
平地の空気密度を1.00とした場合の、1,000m・2,000mでの空気密度
※いであ株式会社のデータを引用
・標高0mの気圧は平均値1013hPaとする
・10m高くなると、約1hPaの割合で気圧が低くなる
標高2,000mに行くと、空気密度は20%も減ってしまう。
このためエンジンは酸素が足りず、シリンダーに送られた燃料を燃焼し切れなくなる。
すると異常燃焼が起き、ノッキングを起こすのです。
山に行くと、酸素が足りずにバイクの調子が悪くなる。
冬に燃費が悪くなるのと逆の状態ですね。
けど、山から下りてくれば治るけどね。
キャブ車は、2,000mの山に行くと20%もパワーダウンしてたけど
燃料噴射になり、勝手に噴射量を調整しノッキングは起こさなくなりました
けど、パワーダウンは防げてません
スーパーチャージャーを付けて、空気を押し込むしかない
2.暖気が長くなる
エンジンが冷えている間、アイドリングの回転数が高くなる
冬場は暖気の時間が長くなるので、燃費が悪くなる
冬の朝、延々と暖機運転をしてませんか?
エンジンを掛けてから、まったりとヘルメットを被り・グローブをはめる。
その間、10分以上かけて暖機運転をしてないでしょうか。
いきなり全開走行をしないのなら、暖機運転は真冬でも2,3分で十分です。
身支度をしながら、マフラーから水蒸気が立ち昇るさまを眺めてる時間は楽しいけれど
ほどほどにしておこう。
オートチョーク
エンジンが冷えていると
オートチョークで燃料消費は多くなる
オートチョークとは、エンジンが冷えている間、アイドリング回転数を自動で上げること
ガソリンを効率よく燃焼させるには、一定温度にエンジンを保つことが必要です。
- エンジンが低温なら、ガソリンを増やして温める
- エンジンが高温なら、水冷を循環させ冷やす
バイクのコンピュータは、一定温度に保とうと頑張ります。
エンジンが暖まるまで、オートチョークが働きエンジン回転数は高くなる。
旧車は自動では無く、手動のチョークレバーでしたよね。
いずれにしても、チョークが働いている間の回転数増加は、燃費に跳ね返る。
3.オイルが硬くなる
冬はオイルが硬くなる
硬くなると抵抗が増えるので燃費が悪くなる
オイルは温度が低くなると硬く粘っこくなります。
エンジン内の各部の潤滑にはオイルは必須だけど、硬いオイルは抵抗になる。
冷えて硬くなったオイルは、エンジンのパワーロス成分なため、その分燃費は悪くなる。
- 夏は硬いオイル
10W-30など - 冬は柔らかいオイル
5W-30など
夏と冬で低温時の粘度を変えるのが理想。
オイルについての詳細は、ココ
4.チョイ乗りが多くなる
冬にロングツーリングは厳しい
チョイ乗りが多くなるので、燃費は悪くなる
冬にロングツーリングは、体が冷え切ってしまう。
自然、近距離のショートツーリングが主体になり、街乗りの機会も増える。
バイクは、一定スピードで走っているときが、燃費がいい。
信号の無い郊外を50km/h前後のゆったりとしたペースで流してるときが、最も燃費が良くなります。
逆に街乗りの場合は周りの車に合わせたり、信号・一時停止で加減速が多くなる。
- 加速するためガソリンを多く使う
- ブレーキ使用で運動エネルギーが無駄になる
どうしても、燃費が悪くなる。
5.タイヤ空気圧が減る
冬になって寒くなると、タイヤの空気圧は減る
空気圧をチェックしてないバイクは
燃費が悪くなる
タイヤの空気圧チェックは、どれくらいの周期で行ってますか?
冬が来る前にチェックしから、乗りっ放しの場合も多い。
『1.空気密度が高くなる』で計算したように、冬は空気密度が7%高くなります。
逆に言うと、夏に入れた空気は7%減ってる。
それに日々空気は抜けていきます。
夏に空気圧調整して、それっきりになってませんか?
冬になると、タイヤ内の空気が収縮し空気圧は減ってます。
タイヤの適性空気圧を下回ったタイヤは、変形が大きくなります。
転がり抵抗が増えるので、燃費は悪くなる。
空気圧の違うバイクを乗り比べれば、違いは歴然です。
けれど空気圧は少しずつ変わるので、日々の空気圧変化を体感するのは難しい。
1ヶ月に1回は空気圧チェックして、適性空気圧を保ちたい。
電動空気入れを手にいれで、自宅で空気圧調節したいなら
冬は車の燃費も悪くなる 【車だけの原因もある】
冬は、バイク同様に車の燃費も悪くなります。
基本的には、バイクの燃費が悪くなる原因と同じだけれど、車特有の原因もある。
それは2つ。
- エアコンの使用
- スタッドレスタイヤの使用
1.エアコンの使用
- 夏はエアコンで車内を涼しく
- 冬は暖房で車内を暖かに
ともに燃費悪化要因
車には、バイクには無い便利な機能が2つあります。
- エアコン
- 屋根
その1つ、エアコンを動かすことで夏・冬の燃費は悪くなる。
だから車の燃費は、エアコンが不要になる春・秋が一番いい。
エアコンは夏だけと思うかもしれないけれど、冬も使ってます
- 暖房を使うために、アイドルストップしなくなる
- 暖房で曇ったウインドウを乾かすために除湿運転する
エアコンを動かすために、燃費は悪くなる。
2.スタッドレスタイヤの使用
スタッドレスタイヤは
夏タイヤより燃費が悪くなる
スタッドレスタイヤは、滑りやすい冬の路面でもグリップしてくれます。
これは、柔らかいゴムを使うことで、路面の凹凸に馴染むからです。
タイヤが変形して路面に馴染むということは、転がり抵抗が増えるということ。
転がり抵抗が増えるから、グリップするのだけれど
転がり抵抗が増えるから、燃費が悪くなるとも言えます。
スタッドレスタイヤは転がり抵抗が大きいので、夏タイヤより燃費が悪くなる。
春が来たら、早めに夏タイヤに戻した方が良い。
PCXのタイヤ選びなら、ココ
なぜ、冬はバイクの燃費が悪くなるのか? まとめ
冬はバイク乗りにとって厳しいシーズンです。
バイクの燃費が悪くなって燃料代がかさむだけでなく
指先は凍えるし、カーブの先が凍結してるかもしれない。
だけど、雪さえ積もらなければ、乗りたい欲求を押さえきれません。
防寒ウエアの性能も上がり、冬も温かく乗れるようになりました。
冬は燃費が悪くなるのは確かだけど、楽しいから止められない。
5つの原因の中には、気を付ければ改善できるものも有ります。
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