ブレーキの効き・タッチに満足してますか?
ブレーキの効きが悪かったり、タッチに剛性感が無くフニャッとしてませんか?
そう言えば、ブレーキがシャキッとしてない
どうすれば良いの?
そんな疑問を解消します。
ブレーキの効きが悪い主原因の1つが、ブレーキフルードの劣化
2年以上交換していないのなら、交換効果は大きい
特殊工具も不要なのでトライしてみませんか?
注意点は3つだけ
- エア噛み
- ブレーキフルードの飛び散り
- ブレーキフルードの入れすぎ
こんな内容を知ってスッキリしよう。
バイクの3つの基本性能(走る・曲がる・止まる)の1つをつかさどるのがブレーキ。
思い通りにブレーキの効きをコントロールできないと、思い通りに加速も出来ません。
減速有っての加速です。
シャキッとしたブレーキになれば、バイクがまた1つ好きになる。
バイクのブレーキフルードをいつ交換しましたか?
エンジンオイルに気を使っているバイク乗りは多い。
- 3,000km毎に交換
- 春・秋の季節毎に交換
- エンジンオイルのグレードにもこだわる
だけど、ブレーキフルードに無頓着になってませんか?
- ブレーキフルードが劣化すると、何が起きるのか
- ブレーキフルードの交換時期は
ブレーキフルードが劣化すると・・・効きの悪さは劣化が原因かも?
劣化すると水分を吸湿してしまい
- タッチ・効きが無くなる
- 沸騰しベーパーロック
そもそもバイクのブレーキをかけると、なぜバイクは止まるのか?
- ブレーキを掛ける
- ブレーキフルードが送り出される
- ピストン(ブレーキパッド)がディスクローターを挟み付ける
- バイクの運動エネルギーが摩擦熱に変換される
- バイクが止まる
運動エネルギーを熱に変換するから止まるのです。
だから、摩擦熱により、ディスクブレーキは高熱にさらされる。
一般的なブレーキフルードは『DOT4』規格で、230℃になっても沸騰しません。
しかし、経年劣化により空気中の水分を含んだブレーキフルードは、150℃で沸騰してしまう。
下り坂でブレーキを掛け続けると、その温度になることもある。
沸騰すると水分が気化し、ブレーキタッチがフニャフニャになり、効きも悪くなる。
ブレーキラインに沸騰で発生した気体が入り込み、圧力を緩衝してしまうためです。
ブレーキの圧力が上手く伝わらなくなり、ブレーキが利かない!
下り坂でブレーキを掛け続けると、最悪はブレーキフルードが沸騰しブレーキが利かなくなってしまう。
『べーパーロック』状態になり、運を天に任すしかなくなる。
『ペーパーロック』と間違えやすいけど、
紙のPaperじゃなくて、蒸気のVaper だからね
冷却水の交換も忘れられやすい
ブレーキフルードの交換時期は
一般的な使用状況では、
2年で吸湿による沸点低下が無視できなくなる
2年毎にブレーキフルード交換したい
一般的な使用状況では、2年で沸点が150℃近くになります。
毎日、少しづつ吸湿するので、ブレーキのタッチ・効きの変化を感じるのは難しい。
だからタッチが悪化したらではなく、2年毎にブレーキフルードを交換しよう。
『ヴェーパーロック』が起きてからでは手遅れだからね。
ついでにオイル交換もしておく?
バイクのブレーキフルード交換方法
バイクのブレーキフルードを自分で交換するのは難しくない。
特別な工具も不要だし、力仕事でもありません。
でも、バイクのブレーキが急に効かなくなったら笑えません。
交換手順を知って、自分で作業可能かを考えよう。
自信が無ければ、ショップに作業依頼するのもいい。
ショップにもよるけど、前後ブレーキのブレーキフルード交換工賃は5千円~1万円ほど。
1年点検、車検などのついでに作業依してもいい。
準備するもの
工具は、プラスドライバーと8mmレンチだけ。
他には、これらのアイテム。
ブレーキフルード
前後の油圧ディスクを交換しても、500mlで十分足ります。
DOT4であれば、基本的にはどのブランドを使っても構わない。
けど、ホンダが実績・信頼感からおすすめ。
同じDOT4でも4輪車用の方が若干安いけれど、良い子は二輪車用を買った方が心が安らぐ。
私は4輪車用をずっと使ってるけど、トラブルになったことはありません。
シリコンスプレー
ブリーダーボルトのキャップが固着して外れにくいので、シリコンスプレーを一拭き。
作業終了後に、バイク全体を磨くのもいい。
内径4mm透明チューブ
ブリーダーボルトに接続し、劣化したブレーキフルードを排出するためのチューブ。
柔軟なシリコンチューブが扱いやすいのでおすすめです。
通常、内径4㎜がフィットします。
バイクによっては5mmの場合もあるけど、シリコンチューブなら広がって対応可能な場合が多い。
排出されるブレーキフルードの色で入れ替え完了を見極めたいので、色のついていない透明チューブがおすすめ。
今回はピンクのチューブを使ったので、見難かった。
ボトル
ブレーキフルードをリバーザータンクにそそぐとき、直接そそぐのはやり難い。
ブレーキフルードは塗装にダメージを与え、塗装が剥げてしまうので、絶対こぼしたく無い。
万一、失敗してバイクに掛かったら大惨事になります。
適当なボトルにブレーキフルードを詰め替えて、慎重にそそぐのがおすすめ。
排油ボトル
排出された劣化ブレーキフルードを貯めるためのボトル。
ペットボトルの空き容器でも、なんでもOK!
ただし、色で劣化具合を見たいので透明なボトルが望ましい。
水
万一、ブレーキフルードが飛び散った場合、塗装を侵す前に水を掛けて中和させます。
防火用水のようなもの。
もちろん、天然水じゃなくても水道水でOK!
ブレーキフルード交換作業の全体イメージ
上の写真が、ブレーキフルード交換作業の全体像
- ブリーダープラグにレンチ・ホースをセット
- ホースの出口にからボルトをセット
- マスターシリンダーから新しいブレーキフルードを注ぐ
- 古いブレーキフルードをブリーダープラグから抜く
まず、『ブリーダープラグ』なんて言葉聞いたこと無いですよね。
『ブリーダープラグ』は、上の写真の黄色丸部分。
ゴムのキャップがかぶさっている部分のことです。
ゴムキャップを取ると、こんな感じ。
ブレーキの模式図で見るとこのブリーダープラグの意味が解り易い。
- ブレーキレバーを握ると、マスターシリンダー内のブレーキフルードが圧送される
- 圧送されたブレーキフルードがピストンを押し出しす
- ブレーキパッドがディスクローターに押し付けられて、バイクが止まる
通常のブレーキ動作はこう。
だけど、ブリーダープラグを開けるとどうなるのか?
マスターシリンダーから押し出されたブレーキフルードがブリーダープラグから出てきます。
タンクに新しいブレーキフルードを追加しながら、ブレーキレバーを握る動作を繰り返します。
すると、古いブレーキフルードが、新しいブレーキフルードに置き換わるという仕掛け。
本当は、古いブレーキフルードを全部抜いてから、新しいブレーキフルードを入れるときれいさっぱり置き換わる。
だけどそうすると、ブレーキラインにエアーが残りやすい。
エアー噛みを除去するのが大変なので、チョットづつ置き換えようという作戦です。
ショップにはブレーキフルードをブリーダープラグから吸い出すエアマシンがあるのでエア抜きは簡単。
だけど、個人ではマシンを買えないので、この手動入れ替えを行います。
何度もブレーキレバーをニギニギするので時間は掛かるけど、難しい作業ではない。
それに100%ブレーキフルードが新品に置き換わらず、チョットは古いのが残るけど大勢に影響はない。
前輪ブリーダープラグにホース・レンチをセットする
エアーが入り込まないように
奥までホースをしっかりセット
ブリーダープラグの開け閉め用に8㎜レンチをセット。
その後、ブリーダープラグにシリコンスプレーをして滑りを良くしてからチューブをねじ込もう。
エアーが入り込まないように奥までしっかりねじ込むのがコツ。
ホースの反対側は、劣化ブレーキフルードを貯めるように空きボトルに突っ込んでおこう。
作業中にボトルが倒れないように、太いボトルがおすすめ。
もちろん、ブレーキフルードの劣化が見やすいように、透明ボトルでね。
これでブレーキキャリバー側の準備は完了。
次はマスターシリンダー側の準備です。
ブレーキパッドも交換しておく?
前輪マスターシリンダーのキャップを外す
マスターシリンダー周りを養生してから
キャップを外す
マスターシリンダーが水平になるように、ハンドルを切って位置を合わせる。
傾いてると、ブレーキフルードがこぼれやすいからね。
ブレーキフルードは塗装を痛める。
万が一でも垂れないように水で濡らしたウエスやタオルでマスターシリンダを包み込んで養生しておこう。
そうしたら、トップのプラスねじ2つをドライバーで外します。
ゴムの蓋が現われます。
『ダイヤフラム』と言い、ブレーキフルードが空気と触れて吸湿しないように守るパーツ。
これは被さってるだけなので、手で外そう。
フタを外すと、ブレーキフルードが現われます。
新品のブレーキフルードに比べると、琥珀色に色づいて見える。
色が濃くなっているのは、吸湿して劣化した証拠です。
前輪ブレーキフルード交換
ブレーキレバーをニギニギして
劣化したブレーキフルードをブリーダープラグからは排出
- ブレーキレバーを握る
- ブリーダープラグのレンチを45°ほど緩める
- ブリーダープラグのレンチを閉める
- ブレーキレバーを緩める
①~④を繰り返す。
ブリーダープラグのレンチを緩めてる間は
ブレーキレバーは決して離さないで!
緩めてる最中にブレーキレバーを離すと、ブリーダープラグに負圧が掛かる。
エアーがマスターシリンダーに入り込んでしまう。
ブレーキがスポンジーになりエア抜きに苦労するので、決してブレーキレバーを離さないで。
マスターシリンダー内のブレーキフルードが少なくなったら、新しいブレーキフルードを足そう。
そうして、①~④を繰り返します。
新しいブレーキフルードと比べると、排出されたブレーキフルードは色が全然違うのが解ります。
出てくるブレーキフルードの色が薄くなり、新しいブレーキフルードが出てくるようになったら、完成です。
色を見極めるために、ホースは透明なものを使うのがおすすめ。
ブレーキフルードは、500mlあれば前後ブレーキを作業したとしても、十分余る量です。
心行くまで、ブレーキをニギニギしよう。
マスターシリンダーにキャップを戻す
外したマスターシリンダーのキャップ、ダイヤフラムをウエスで掃除してから元に戻します。
ホントは水洗いが良い。
けど、しっかり乾かして万が一でも水滴が付いた状態で閉めないで。
これで前輪のブレーキフルード交換は完成。
今一度ブレーキを握り、しっかりブレーキが効き、剛性感もあることを確認いておこう。
後輪ブリーダープラグにホース・レンチをセットする
後輪のブリーダープラグはココ。
前輪と同じように、レンチ・ホースをセットしよう。
後輪マスターシリンダーのキャップを外す
前輪と同様に①~⑤を繰り返そう
- ブレーキレバーを握る
- ブリーダープラグのレンチを45°ほど緩める
- ブリーダープラグのレンチを閉める
- ブレーキレバーを緩める
- ブレーキフルードを足す
- マスターシリンダーのブレーキフルードが空にならないよう、適宜つぎ足す
- つぎ足すときには、こぼさないようにする。
この2つに注意して、レバーをニギニギ。
後輪のブリーダープラグは、後輪ブレーキレバーと距離があります
ブレーキレバー操作とブリーダープラグのレンチ操作を1人で行うのは苦しいかも
1人で難しい時は、誰かに手伝ってもらおう
きれいなブレーキフルードが排出されるようになったら、マスターシリンダーの蓋を閉めて完成です。
交換が終わったら、バイクの水拭き
ブレーキフルードが車体にこぼれてるかもしれません
可能なら、バイクを水洗いしたい
繰り返しになるけれど、ブレーキフルードは塗装を痛めます。
ブレーキフルードがこぼれたのに気付いてイなのかもしれない。
出来れば、バイク全体を水洗いしておきたい。
それが無理なら、濡らしたタオルでバイク全体を噴き上げておこう。
おつかれさまでした。
バイクを洗ったら、コーティングしておく?
バイクのブレーキフルード交換方法 まとめ
バイクのブレーキフルードの交換周期は2年。
ブレーキの効きに不満が無くても、2年たったら交換したい。
いざ交換してみると、シャキシャキのタッチに驚くに違いない。
最後に繰り返しになるけれど、ブレーキフルード交換は難しい作業ではありません。
でも、交換後に初めてバイクに乗るのは、ブレーキがしっかり掛かることを確認してから。
自分で行うのが不安なら、ショップに任せよう。
メンテが出来ないのは恥ずかしいことじゃない。
恥ずかしいのは、出来てるつもりになってること。
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