Moto GPを筆頭に、
戦うバイクのリザーブタンクは別体式になってます。
ブレーキレバーとは離れた位置に、タンクが固定されている。
何か、カッコいい!
一体式のタンクを
別体式にカスタムできないの?
そんな疑問を解消します。
別体式にカスタムするのは難しくない
- 性能には満足していて別体式になればいいのなら
同じシリンダー径のマスターシリンダーに交換 - 性能アップも望むなら
- マスターシリンダー径変更
ブレーキが軽く引けるようになる - ラジアルシリンダーに変更
剛性感・フィーリング向上
- マスターシリンダー径変更
おすすめは安価でトラブルの起きにくい1番の方法
こんな内容を知って、スッキリしよう。
リザーブタンク別体化は、リアサス・マフラー交換のようには目立ちません。
だからこそ、別体化カスタムしたバイクを見かけると『オーッ』ってなる。
バイクは感性で乗るものだから、性能アップだけがカスタムの方向性じゃない。
細かな外観を変えるのも大事なカスタムです。
自分にしか解らない違いを作り込み、にやけるのもアリ!
ブレーキのマスターシリンダーを別体化する3方法
最初に言っておくと、
ブレーキフルードのリザーブタンクが別体になっても、性能的には何も変わりません。
一般に、SSなどフルカウルのバイクには別体式が用いられ、
カウルの無いネイキッドなどには一体式が使われてます。
別体化の目的が、リザーブタンクがカウルと干渉しないようすることだからです。
別体化してフロントスクリーンに当たらない位置に移動させてるだけ。
だけど、
『別体式の方がカッコいい!』
これはカスタムするのに十分な理由ですね
一般的には、別体リザーブタンクとは言わず、別体マスターシリンダーと呼びます。
マスターシリンダーを別体化する方法は3つ。
- 同じシリンダー径の別体マスターシリンダーに交換
- シリンダー径を変えた別体マスターシリンダーに交換
- ラジアルマスターシリンダーに交換
別体化に合わせて、ブレーキフィーリングのカスタムも行うことが出来ます。
3つの違いを知るには、事前知識が必要です。
まず、マスターシリンダー径を変えると何が起きるか知っておこう。
(理屈はどうでもよければ、次の章を飛ばして貰って構いません)
マスターシリンダー径を変えると何が起きるか
マスターシリンダー径を変えると、ブレーキを引く重さ(固さ)・引き代が変わる
マスターシリンダー径 | 大きくする | 小さくする |
---|---|---|
レバーを引く重さ(固さ) | 重くなる | 軽くなる |
レバーの引き代 | 少なくなる | 多くなる |
正確には、『あらゆる地点の圧力は等しい:パスカルの原理』により
- 制動力 = ディスクローター半径 × ピストン面積 × ピストンの数 × 油圧
- 油圧 = ピストン面積/マスターシリンダー面積 × マスターシリンダーを押す力
- マスターシリンダーを押す力 = ブレーキレバーの重さ(固さ)
つまり、マスターシリンダー径を変えるとマスターシリンダー面積が変わるので
- 同じ力でブレーキを引いても、制動力が変わる
- 同じ制動力を得るための、ブレーキを引く力が変わる
マスターシリンダー径を変えると、送り出すブレーキフルードの量が変わるので
- ブレーキの引き代が変わる
パスカルの原理
ブレーキレバーを握ると
- マスターシリンダーを押す力(例えば10kgf)が発生する
- マスターシリンダー面に掛かる圧力は、『10kgf/マスターシリンダーの面積』
- その力がピストンに伝わり、ピストン面に掛かる圧力は、②と同じ(パスカル)
- ピストンを押す力は、②の圧力 × ピストンの面積
つまり 10kgf × ピストンの面積 / マスターシリンダーの面積
- マスターシリンダーの面積を変えなければ、フィーリングは同じ
- 細いマスターシリンダーに変えると、ピストンを押す力が増える
例えばマスターシリンダーの径を半分にすると、面積は半径の二乗なので1/4の力でブレーキが利く。
厳密にはマスターシリンダー交換はレバー交換になるので、ブレーキレバーのレバー比も変わる
だけど面倒なので同じレバー比と考えます
さらに詳しい話は、ココ
1.同じシリンダー径のマスターシリンダーに交換
ブレーキ性能に満足してるなら、純正のマスターシリンダーと同じ径の別体式に変える
ブレーキフィーリングは変わらない
ブレーキ性能に満足してるなら、外観を別体式に変えるだけでいい。
それには、純正と同じ径の別体式マスターシリンダーを選べば良い。
むやみに高性能化すると、かえって扱い辛くなることもあるからね。
- ブレーキの利きがリニアで無くなったり
- リアブレーキとのバランスが悪くなったり
純正マスターシリンダー径はいくつなのか?
別体式にしたくても、今ついているマスターシリンダーの径が解らないと話になりません。
だけど、それを見つけるのは簡単!
リザーブタンクの横に書いてあります。
上の写真の場合、1/2inchですね。
ついでにハンドル位置も変えてみる?
2.シリンダー径を変えたマスターシリンダーに交換
純正ブレーキのタッチが重いなら
シリンダー径の小さいマスターシリンダーに変えればいい
ブレーキレバーの重さ(固さ)さは、マスターシリンダーの面積に比例するので
マスターシリンダーを細くすれば、軽くレバーを握るだけで同じ制動力が得られます。
ただ、その分ブレーキフルードを送り出す量は減ります。
だから、ピストンを同じ量だけ動かすためには、ブレーキレバーの引き代は多くなる。
これはメリットとも言える。
引き代の幅が広がるので、制動力の調節がしやすくなるからね。
軽い力でブレーキが効き、引き代も増えるので効き具合が調節し易い
⇒ コントロール性が良くなる
どれくらいブレーキレバーを引く力が変わるの?
例えば14mm径のマスターシリンダーを、11mm径のマスターシリンダーに変えると
(3.14×11^2)/(3.14×14^2) = 0.8
ブレーキの重さ(固さ)は、0.8倍になります。
レバーを軽く握るだけで、ブレーキが利く!
しかし、この方法は、125cc・250ccクラスのバイクには使えません。
マスターシリンダー径は、1/2inch・5/8inch・11mm・14mm などが一般に流通しています。
125cc・250ccクラスなら、1/2inch、11mmが使われていることが多い。
このクラスより細い径は、市販されていないので、125cc・250ccクラスの引きを軽くするのは難しい。
マスターシリンダー径を大きくすると?
- レバーを引く重さ(固さ)は、重くなり
- 引き代は、少なくなる
カックンブレーキになりますね。
コッチ方向のカスタムをする人は、まず居ない。
ついでにグリップも新しくしたい。
3.ラジアルマスターシリンダーに変える
写真の従来のマスターシリンダーは、ハンドルと並行に配置されてます。
これを90度移動し、自分に向けてマスターシリンダーを配置する構造がラジアルマスターシリンダー。
マスターシリンダーがライダーの方向に向かっているのでラジアル(放射線状)と呼ばれてます。
一方、比較する形で従来型のマスターシリンダーは『横押し』と呼ばれます。
配置を変えると、何が嬉しいのか?
解り易いように図にすると
・従来の横引きマスターシリンダー
レバーを引く方向(1)は縦なのに、マスターシリンダーを押す方向(3)は横と、方向が違います。
このため、一定の力でレバーを引いても、マスターシリンダー押す力が変わっていってしまう。
・ラジアルマスターシリンダー
レバーを引く方向(1)とマスターシリンダーを押す方向が同じ。
だから、ダイレクトにブレーキの利きを感じられる。
また、レバーの引いて行ってもマスターシリンダー押す力は一定を保てます。
だから、ブレーキの利き具合が一定なので扱い易い。
ラジアルマスターシリンダーに交換するメリットは
- ダイレクトな操作感が得られる
- レバーを握り込んで行っても、効き具合が変わらない
要は、ブレーキがコントロールしやすくなるのがメリット。
デメリットは、コスト。
従来型のブレーキより高価なのがデメリットです。
別体タンクにラジアルマスターシリンダー!
レーサーみたいで、カッコいい!
細かいフィーリングの違いはあるけれど、ツーリングユーザーにとっての一番のメリットはカッコいいこと。
レーサー気分になれるのは嬉しい。
ラジアルマスターシリンダーの選び方
一体式(横押し)マスターシリンダーをラジアルに交換する場合、シリンダー径が変わる
一体式(横押し)シリンダー径 | ラジアルマウントシリンダー径 |
---|---|
5/8inch | φ19 |
14mm | φ17 |
11mm、1/2inch | 5/8inch |
一体式(横押し)マスターシリンダーをラジアルマスターシリンダーに交換すると、支点・作用点の距離が変わります。
このため、変更前後で同等のフィーリングにしようとするとマスターシリンダー径を変える必要が出て来ます。
上表のように、例えば14mmだったものをラジアルに変えると、φ17が適正値になります。
ただ、変更前後のメーカにより支点・作用点の設計は変わるため、目安に過ぎない。
SNSなどで、情報を集めた方が良い。
スマホホルダーの振動対策もついでに?
おすすめの別体式ブレーキマスターシリンダー
別体式ブレーキマスターシリンダーにする方法は3つ。
- 同じシリンダー径の横押しマスターシリンダーに交換
- シリンダー径を変えた横押しマスターシリンダーに交換
- ラジアルマスターシリンダーに交換
方法は3つだが、交換するマスターシリンダーの種類は横押し・ラジアルの2種です。
横押し・ラジアルとも、各社から色々な製品が出ているけれど、おすすめは2社
- 良いモノが欲しい
⇒ Brembo(ブレンボ) - コスパも必要
⇒ Daytona(デイトナ)
良いモノが欲しいなら、ブレンボ
ブレーキパーツで間違いのない選択として出てくるのが、ブレンボ。
レースで実証された性能はもちろんだけど、高級感もあるので所有欲を満たせる。
高価なのは確かだけど、それだけの価値はあります。
ブレンボ コルサコルタ ブレーキマスターシリンダー ラジアルφ17
最高のモノを求めるのであれば、ブレンボのコルサコルタ。
ラジアルタイプの中でもコルサコルタは最高峰グレード
- 無効ストロークを3段階に切替可能
- レバーレシオを2段階に切り替え可能
あなた好みにブレーキフィーリングを設定できる機能が付いてます。
タンクもブレンボにする?
ブレンボ 横押しブレーキマスターシリンダー
ブレンボの横押し13mmブレーキマスターシリンダー。
ラジアルは高価すぎるけど、その辺のブランドでは物足りないならブレンボ。
ブレンボの威光はあるけれど、ラジアルほど高価ではないので使い易い。
コスパも求めるなら、デイトナ
安価な方が良いに決まってるけど、ブレーキは大事なパーツ。
安かろう悪かろうでは困るので、信頼できる日本ブランドの品を使いたい。
株式会社デイトナは、1972年創業のバイク用品メーカー。
アパレルからコアなカスタムパーツまで、揃わないものが無いほど手広い。
静岡県にある日本のカイシャです。
デイトナのマスターシリンダーがおすすめなのは、3つの理由。
レバーからタンクまで全て揃ったオールインワン設計なので、相性を気にしながら別途パーツを購入する必要が無いのは嬉しい。
カスタムでありがちなのが、せkっかくパーツを入手したのにサイズ違いで使えないこと。
ガッカリしますね。
でも、デイトナなら気にしなくても良いので、助かります。
デイトナ NISSINバイク用 横押しブレーキマスターシリンダー
ピストンサイズ:1/2inch
ピストンサイズ:5/8inch
ピストンサイズ:11mm
ピストンサイズ:14mm
リザーブタンク別体化するのに、一番使い易いのがデイトナ。
1/2inch・5/8inch・11mm・14mmと多くの径に対応しているので、適合サイズも見つけ易い。
デイトナの横押しマスターシリンダーの商品一覧
カラー・ピストンサイズが各種あるので、自分のバイクに合うものが見つけられるに違いない。
デイトナ NISSIN用 ラジアル ブレーキマスターシリンダー
ピストンサイズ: 5/8インチ (横型 11mm – 1/2インチ相当)
ピストンサイズ:φ19
ピストンサイズ:φ17
- レバーアジャストは6段階調整可能
- クランプホルダーはミラー穴有り
- アルミタンクステー付
タンクの別体化だけでは物足りない。
ラジアルを試してみたいけどブレンボは高すぎるなら、デイトナのラジアル。
横押しとの違いを体感してみよう。
サスのプリロード調整してる?
ブレーキマスターシリンダーを別体化する3方法 まとめ
ツーリングライダーにとって、カスタムは自己満です。
- 他人に迷惑かけない
- 違法性が無い
2つの条件が揃ってるなら、自己満を突き進んで構わない。
ブレーキタンクを別体化する必然性が無くても、カッコ良ければカスタムするのはアリ。
突き進んでみよう。
その先に何が見えるのか?
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