『彼のオートバイ、彼女の島』で初めて片岡義男さんを知りました。
その後、片岡義男さんの本を読み漁りました。
その時に読んで、今でも強く印象に残っている本の1つが『幸せは白いTシャツ』です。
私はこの本で、母が買うグンゼの下着を止めてHANESの赤パックに替えた。
20年経っても、変わってません。
『幸せは白いTシャツ 』 との出会い
ダイアナ妃の結婚で始まり昭和天皇と共に去った1980年代、私はまだ子供でした。
1982年の『幸せは白いTシャツ』もリアルタイムでは知りません。
『彼のオートバイ、彼女の島』で初めて片岡義男さんを知り、淡々と情景を積み重ねる独特の言い回しにやられました。
ハードボイルドと言えばチャンドラーしか知らなかった田舎者には、片岡さんの乾いた客観的な描写は新鮮で都会的で、こんなハードボイルドは初めてでした。
本当に貪るように読み漁りました。
印象深い本が沢山ある中でも『幸せは白いTシャツ』は今も思いが強く残っています。
若い女性がバイクで年単位の一人旅
片岡義男さんとしては珍しく、若い女性がバイクで一人旅をするロードムービーです。
取り立てて事件が起きるわけでもなく、淡々と旅が進み、淡々と情景が積み重なります。
女性のバイク1人旅、その情景がもう田舎者を掴んで放しません。
本の中には、バイクで走る女性の写真が挿入されてます。
後から知ったのですが、実際に日本一周されレースでも活躍されている三好礼子さんです。
この三好礼子さんがまた綺麗で。
自分もバイクで1人旅をすれば、こんな人と知り合えるかもしれない、キット知り合える。
いや、自分の住んでいるこの田舎に日本一周中の彼女が立ち寄り、出会うという事も有り得る。
そんな妄想が広がるのです。
白いTシャツのにあう人
ふりかえるほどの過去もありませんし、あてにする将来も、いまのところないのです。私の手もとには、現在だけがあるのです。そして、その現在は、とても素敵です
こんなセリフをサラリと言う彼女に白いTシャツが似合います。
飾らない、卑下しない、ありのままの自分を表現できる人に憧れます。
Hanesの赤ラベル
そんな時は、まず形から入るのが約束です。
形から入れば、精神は後から付いてきます。
何の疑いも無く着ていた母が買ってくるグンゼを止めました。
自分でHANES赤パックを買って着ました。
ジーンズにHANESは自由の象徴です。
HANESの白いTシャツはありのままの自分です。
白いTシャツで過ごす事は自分と向き合う事です。
形から入れば、精神は後から付いてきます。
1回洗うとクシャクシャになるのに最初は戸惑いましたが、今ではそうでないとダメです。
20年着ていると、時代と共に生地が薄くなったら厚くなったり、洗ったときの縮み幅が変わったり。
色々あるけれどそれさえ愛おしい。
もう変える気も無い。
途中で青ラベルに浮気したこともあるけれど、やはり綿100%の赤ラベルに帰ってきます。
- 袖をまくってカッコつけてたのは、恥ずかしい
- タンクローリーの後ろに着くと高揚するのは、変わらない
Tシャツでバイクに乗るのは勧められないけれど、
Tシャツとジリジリと焼かれる腕の感覚は忘れられない記憶です。
Tシャツの日焼け跡は今でも残ったままです。
『幸せは白いTシャツ』1冊の本が男の子を男に変えた まとめ
銃や暴力が無くてもハードボイルドが成立する事を教えてくれたのは、片岡義男さんです。
登場人物は誰もが飾らず自由です。白いTシャツが似合います。
いつか、自分もそんな自然体に生きる事が出来るようになるのだろうか?
そう思わずにはいられません。
形から入って20年、少しは中身も付いてきただろうか。
赤ラベルではしゃいでた頃のバイクはもう無いけれど、
ロングツーリングに出掛けてみようか?
併せて読みたい