バイクを洗車してて、ネジの脱落に気づくこと有るよね?
カウルがグラグラしてたり、ひどい時にはナンバープレートが脱落してたりしてね。
脱落までいかなくても、ネジがユルユルでギリギリセーフなんてことは良くある。
そんなことに気付けるから洗車は大事、って話をしたい訳じゃない。

なぜ、バイクのネジは緩むの?
緩まないようにするにはどうすればいいの?
こんな疑問を解消します。
ネジが緩む理由は3つ
- 被締結物のクリープ(へたり)
- 振動・衝撃による微小な回転
- 温度変化による膨張・収縮
バネ座金をネジ緩みに入れるのは、無意味だから止めよう
緩まなくするには4つの方法を適材適所で使い分ける
- 平座金+適正トルク
- ナイロンナット
- セレーション付き座金(ノルトロックなど)
- ネジロック剤
こんな内容を知ってスッキリしよう。
間違えちゃいけないのは、ネジが緩まないように渾身の力で締め付けないこと。
力一杯締め付けておけば緩まないなんて、思ってたら大間違いです。
ヌルっとした嫌な感覚がして、ネジをなめてしまってから気付いてももう遅い。
転ばぬ先に、知っておこう。
ネジはなぜ、緩むのか?【締めた瞬間から緩み始める】

そもそも、ネジを締めて締結するというのは、ネジを締めることでネジは軸方向に伸びる(引っ張られる)。
ネジが引っ張られる力と母材が反発する力の均衡により、ネジは脱落しない。
しかし、ネジ締めを終わった瞬間からネジは緩み出します。ネジが引っ張られる力(軸力)は、時間とともに減ってネジが緩むのです。
ネジが緩む主な原因はこの3つ:
- 母材のクリープ(へたり)
- 振動・衝撃による微小な回転
- 温度変化による膨張・収縮
1.母材のクリープ(へたり)

ネジが引っ張られる力と母材が反発する力でネジは締まっている。けれど、時間とともにへたってきます。
押し付けられた母材は、次第に押し付けられた状態に凹んでしまうから。
プラスチックのカウルなどのネジ締めが分かり易い。ネジでフレームに締め付けられたプラスチックのカウルを見ると、凹んでることがあるよね。
凹むとその分、ネジがユルユルになって脱落してしまう。
2.振動・衝撃による微小な回転

バイクは常にエンジンの振動、路面からの振動にさらされ続けてます。
その振動で少しづつネジが逆回転して、緩んでしまう。
すると、ネジがユルユルになって脱落してしまう。
3.温度変化による膨張・収縮
100mmの鉄棒が10℃上がると、0.012mm伸びます
逆に冷えると同じだけ縮む
金属も温度により伸び縮みします。
それにより、締まってたネジに隙間ができてしまう。
母材とネジが全く同じ材質なら温度変化で緩まないけれど、そうも行かない。
そして隙間が空いたネジはユルユルになって脱落してしまう。
バイクのネジを脱落させない方法はバネ座金じゃない!

ネジ緩み対策として、すぐに思いつくのが、『バネ座金』。
昔の器械をばらすと、良く出てくるので馴染みですね。
バネ座金は、座金が割れていてバネになっている。バネの力でネジを押しつけるので緩み止めになると思うよね。
でも、実際にはバネ座金が効くのは小さなネジだけなのです。
バイクでは効かないことが多い。
バネ座金が効かない理由
- ばねの力がネジの軸力に比べて非常に小さい
- バネ座金の切り口が母材に引っかかることはまれ
- ネジの軸力は数千N〜数万N
- バネ座金のバネが押し付け力はその数%程度
バネ座金を使っても、数%しかネジを押し付ける力は変わりません。だから、バネ座金を入れたからと言って、軸力が劇的に変わりネジが緩みにくくなることは無い。
元々軸力が小さいネジ、つまり小さなネジの場合はバネ座金の押し付け力との差が詰まるのでバネ座金が効いてきます。
逆に言えば、バネ座金は小さなネジにしか効かない。
バイクで使われているネジには効かない。
また、バネ座金の形状を見ると、切り口が母材に引っかかって回転しにくくなるように見える。
ネジ緩み効果がありそうな気もするけれど、よほど柔らかい母材じゃないと引っかかりません。そんな柔らかい母材は、そもそもネジ締めで母材が陥没してしまい話にならない。
バイクのネジを脱落させない4つの方法

本当に効果的な、ネジの緩み対策は4つ。
4つの方法を適材適所で使い分けよう。
- 平座金+適正トルク
- ナイロンナット
- セレーション付き座金(ノルトロックなど)
- ネジロック剤
1.平座金+適正トルク
まずは王道のトルク管理
トルク不足はダメだし、バカちからで締めればいいというものじゃない。
適正トルクで締め付ければ、ネジはまず脱落しない。
ネジをなめてしまっては話にならない。
もう一息締めようとして、ヌルっとした感覚を感じて総毛だったことは誰でもあるよね。
なめるまで行かなくても、適正トルク以上で締めるとネジや母材が傷んでしまうので止めよう。
ネジ毎に適正トルクは決められてます。
標準トルクは以下表ですが、バイク毎にも規定があるので確認してから締めよう。
| ネジサイズ | 適正トルク |
|---|---|
| M3 | 0.63Nm |
| M4 | 1.5Nm |
| M5 | 3Nm |
| M6 | 5.2Nm |
| M8 | 12.5Nm |
| M10 | 24.5Nm |
トルクレンチ選びなら
ネジをなめてしまったら
2.ナイロンナット

緩み止め機構のついたナイロンナットで脱落防止
ナット内部にナイロンの白色リングが入っているナットを見たことがあるはず。
ブレーキレバーの止めネジなど、脱落すると危険に直結するネジでよく見かけます。
ナイロンの白色リングはボルトより若干径が小さく作られており、ナイロンの摩擦でボルトの回転を防止しています。
普通のナットよりはちょっと高いけど、脱落すると危険な場所のナットは換えておくのも良い。
数回なら繰り返し使用してもナイロン摩擦力が減ることは無い。けれど10回も締め直したのなら新しいナイロンナットに交換しよう。
3.セレーション付き座金(ノルトロックなど)
回転防止機能がついた座金を使う
バネ座金は切断による段差が1つしかないので回転防止としては効果が薄い。
そこで、段差を全面についている座金にして回転防止効果を狙ったもの。
母材に段差を食い込ませたり、座金同士の段差を組み合わせることで、回転による緩みを防止します。
もちろん、バネ座金よりはよほど効果的。
4.ネジロック剤

一生、緩まなくなる強力タイプもあるので
気を付けて
ネジ山に塗ることで摩擦力を上げて、緩まなくする方法。
強力な方がネジ緩みには効果的だけど、メンテでネジを外したいときに外れないと詰む。
一般的には強・中・弱の3タイプあり、強だと二度と外れない。バーナーで炙れば外れなくもないが、壊すだけなので素人は止め置いた方が良い。
中タイプまでにしておこう。
スパークプラグにネジロックは、絶対に塗らないで!
バックミラーのミラー部の固定
ネジ固定ではないが、バックミラーの鏡面が振動で直ぐにズレて困ってませんか。
だからと言ってネジロック剤を使うと、微調整できなくなってしまう。
そんな時は、アネックス ネジすべり止め液がおすすめです。
微粒子が入った液体で、元々はなめてしまったネジ頭に塗ってドライバーとの摩擦を高め、ネジを何とか回すためのもの。
これをバックミラー裏面のボールジョイント部に塗れば、微粒子により摩擦が高まり、バイクの振動で鏡面がずれにくく成る。
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バイクのネジを脱落させない方法はバネ座金じゃない! まとめ

バネ座金は、ネジ緩みにはおまじないレベルでしか効きません。
でも、だからと言ってバネ座金を使ってあるバイクを見ても上から目線で指摘するのは止めた方が良い。
同じバイクというマイナーな趣味を持った者同士、仲良くやろう。
親しくなったのなら、バネ座金より有効な手段があることをさり気なく伝えてあげて。
それが先を行くものの務めだから。
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