初めてバイクのエンジンオイルを自分で交換したときに、
なんだかレベルアップした気がしたはず。
テッテテ~!
けれど、走っている時に緩んだら大変なので、
ドレインボルトを親の仇のように締めてませんか?
トルク管理?
トルクレンチは使い方が難しそう!
そんな疑問を解消します。
- トルク管理が必要な理由
ボルトによって、締めるトルクは違う
人の感覚は当てにならない - バイクメンテにおすすめなトルクレンチの選び方
3つのサイズと9.5mmがおすすめな理由
アナログよりデジタルがおすすめな理由 - トルクレンチの使い方
- おすすめのトルクレンチ
こんな内容を知って、スッキリしよう。
ベテランはもちろんだけれど、初心者こそトルク管理が必要です。
思い切りドレインボルトを締めても、何も起きなかったかもしれない。
けれど、そんな幸運が長続きするはずが無い。
トルクレンチでトルク管理が必要な理由
自分がどれくらいのトルクでボルトを締めているか解りますか?
トルクレンチがあれば、簡単に希望のトルクでボルトを締められる。
ボルトサイズ・材質によって、締めるトルクは違う
手の感覚だけで、トルクを制御できると思いますか?
ボルトを締めるときの適正トルクは、各バイクのメンテナンスマニュアルに記載されてます。
一般的なバイクの締め付けトルクの適正値は、これくらい。
- 点火プラグ 20Nm
- エンジンオイルドレインボルト 20Nm
- ブレーキキャリバー 40Nm
- フロント・リアアクスル 90Nm
バイクによって多少前後します。
けれど、ねじの材質とサイズでおまかなトルクは決まってる。
ねじサイズ | T系列[N・m] | 0.5系列[N・m] | 1.8系列[N・m] |
M6 | 5.2 | 2.6 | 9.2 |
M8 | 12.5 | 6.2 | 22 |
M10 | 24.5 | 12.2 | 44 |
M12 | 42 | 21 | 76 |
締める力は、Nm(ニュートンメートル)の単位で表します。
- T系列
一般的なねじのトルク - 0.5系列
プラスチック、銅、アルミねじ穴のトルク
電子部品などに適用 - 1.8系列
高強度鋼ボルトのトルク
エンジンなどに適用
ボルトサイズ・材質によって違うトルクを、手の感覚だけで再現するのはムリ!
ベテランほど、トルクレンチを使います
1Nmは、1mのレンチの端に
1kgの物体に1m/s2の加速度を生じさせる力を掛けた時のトルク
解ったようなよう解らない単位だけれど、気にしなくてOK。
人の感覚は当てにならない
人の手は、0.1mmの凹凸を感じられるほど繊細だけど
トルクの違いが判らないほど鈍感だったりもします
いくらベテランといえども、人の感覚は当てになりません。
- 体調
- 慣れ
- 忙しさ
手の感覚だけで締めると、大抵は締め過ぎです。
適当に締めたボルトが緩めば事故になるし、
締め過ぎてナメると修復が大変。
機械に任せられるところは、機械に任した方が正確です
トルク不足だとどうなる?
エンジンの振動、走行振動でねじが緩むと・・・
走行中の振動でボルトが緩んできて、最悪は脱落してしまう。
ドレインボルトなら
たとえば、エンジンオイルドレインボルトなら、走行中にオイルをぶちまけてしまう。
気付かずに走っているとエンジンを壊します。
当然、バイクは走れなくなる。
道路にオイルをまき散らすと他の車がスリップする危険もある。
ブレーキキャリバーなら
ブレーキキャリバーが緩むと、ブレーキが利かなくなる
どうなるかは、運を天に任すしかない
トルク不足はボルトが緩んでくるのでとても危険です。
トルク過多だとどうなる?
思いっきりボルトを締めていると急に手ごたえが無くなり、
ヌルっとした手ごたえに変わり、血の気が引く!
ボルトが緩んでは大変だと、思いっきり親の仇のように締めあげたらどうなるか?
- オイルドレインボルト
- ブレーキキャリバーボルト
アルミにネジ穴を切ったところにボルトをしめる場合は、特に危険。
アルミは柔らかい金属です。
そう、ねじ穴を舐めてしまう。
だれもが、一度は経験して忘れられなくなるあの感触です
後悔先に立たず
ねじ穴を舐めてしまうと、修復が大変。
最悪は、修復不能で廃車になってしまうこともある。
ねじをなめてしまったら
バイクメンテにおすすめなトルクレンチの選び方
人の感覚は当てにならない。
トルク管理はトルクレンチに任せてしまうのがおすすめです。
バイクメンテのためにトルクレンチを買うなら、おすすめはこんなトルクレンチ
- 20Nm~100Nmのトルクに対応
- 9.5mmの差し込み角
- デジタルトルクレンチ
1.20Nm~100Nmのトルクに対応
バイクに使われるボルトのトルク値は、これくらい。
- 点火プラグ 20Nm
- エンジンオイルドレインボルト 20Nm
- ブレーキキャリバー 40Nm
- フロント・リアアクスル 90Nm
初めてのトルクレンチは、20Nm~100Nmくらいがおすすめ。
小さなボルトなど、20Nm以下のトルク管理は出来ません。
しかし、小さいボルトはさほど重要なボルトでは無いので、そこそこでも大丈夫。
気になるなら、2本目のトルクレンチとして、20Nm以下の小型トルクレンチを考えよう。
2.9.5mmの差し込み角
ソケットレンチには、差し角のサイズ規格があります。
ソケットの後ろの四角いところのサイズです。
- 4分の1inch(6.3mm) : 3~14mmのソケットに対応
- 8分の3inch(9.5mm) : 5~27mmのソケットに対応
- 2分の1inch(12.7mm) : 6~46mmのソケットに対応
当然、サイズが大きい方が、大きなソケットを扱えます。
バイクメンテには、9.5mmの差し込み角がおすすめです。
バイクに使われているほとんどのボルトに対応する。
3.デジタルトルクレンチ
トルクレンチには、デジタル型とアナログ型があります。
おすすめはデジタル型!
アナログ型
トルクレンチについているダイアル目盛りを回して、規定トルクを設定します。
プリセット型とも言います。
設定後に実際にトルクを掛けていくと、規定トルクになると『カチッ』とトルクレンチの音が鳴り、頭が曲がる感触がする。
デジタル型
トルクレンチに液晶画面が付いていて、締めたいトルク値を画面に設定するタイプです。
設定後、トルクを掛けていき規定トルクになると、ブザーで教えてくれる。
リアルタイムのトルク値も見ることができるなど多機能です。
当然、デジタル型の方が扱い易い。
けれど、価格は高く、扱いがデリケート。
財力と好みで、どちらを使うか決めよう。
おすすめは、ガジェットとしても面白いデジタル。
メンテには、メンテナンススタンドがあると便利!
トルクレンチの使い方の注意点2選
トルクレンチの使い方で注意が必要なのは2つ。
- ハンドルの中心をもって直角に力を入れる
- 2度締めはしない
1.ハンドルの中心を持って直角に力を入れる
ハンドルの中心を持たないと、正しいトルクは測れない
トルクは、力と長さで決まります。
トルクレンチに設定した数値は、ハンドルの中心に力を入れた前提のトルクです。
- 短く持って力を入れる
⇒大きな力で回すので設定トルクより大きなトルクで反応する - 長く持って力を入れる
⇒小さな力で回すので設定トルクより小さなトルクで反応する
ハンドルの中心を持って直角に力を入れないと、正しいトルクで締められません。
2.2度締めはしない
トルクレンチは「今行っている作業を、どれくらいの力で締付けているか」を測定する工具なので、「締まっているねじに使っても意味が無い!」ということを覚えておきましょう。
KYOTO TOOL CO., LTD.
引用:KTCツールオフィシャルサイト
トルクレンチで締めたねじを、確認の意味でもう1度締めると
設定トルク以上のトルクで2度締めしたことになります。
トルクレンチは、確認のためのツールではありません。
トルクレンチが痛まないように
普通のレンチで締めてから、トルクレンチで確認するのも
意味がありません
関西の串揚げで、『2度付け禁止』と同じですね!
おすすめのデジタルトルクレンチ7選
工具ほど『安物買いのなんとか』が当てはまるものも無い
バイクメンテに使い易いトルクレンチ7選dす。
- KTC プレセット型 トルクレンチ 9.5mm 20~100Nm
- KTC デジタルトルクレンチ デジラチェ 9.5mm 17~85Nm
- SK11 デジタルトルクレンチ 差込角 9.5mm 6.8~135N・m
- SK11 デジタルトルクレンチ 差込角 9.5mm 3~60N・m
- KTC デジタルトルクレンチ デジラチ 9.5mm 6~30Nm
- TONE プレセット形トルクレンチ T3MN100 差込角9.5mm 100N・m
- TONE ハンディデジトルク
1.KTC プレセット型 トルクレンチ 9.5mm 20~100Nm
Made in JAPAN
日本が誇るKTCの工具は精度・使い勝手ともに一流品です。
国内シェアNo.1の工具メーカー。
値段は張りますが、一生ものです。
折角のトルクレンチなのに、設定トルクが怪しいと話にならない。
おすすめ!
2.KTC デジタルトルクレンチ デジラチェ 9.5mm 17~85Nm
17~85Nmとアナログ型にくらべて設定レンジは狭いが
使い勝手のいいサイズなので、登場の機会は増える。
精密機械なので、プリセット型より扱いはデリケートにする必要があるけれど、
カチッとした仕上がりは、満足感が高い。
3.SK11 デジタルトルクレンチ 差込角 9.5mm 6.8~135N・m
- 設定トルク到達時にブザー音とLEDの光でお知らせ
- 右ネジ、左ネジ両方向の測定が可能
- 自動的に電源が切れるオートスリープ機能付き
KTCが予算オーバーなら、Amazonで評判が良くて売れてるSK11。
SK11は、日本の藤原産業のスタンダードブランド。
怪しい中華とは、一線を画す。
4.SK11 デジタルトルクレンチ 差込角 9.5mm 3~60N・m
SK11の低トルクタイプ。
重メンテは頻度が少ないので、大トルクは不要と考えるなら、コレ。
5.KTC デジタルトルクレンチ デジラチ 9.5mm 6~30Nm
小ねじ用の2台目トルクレンチを導入するなら、これ。
- 1台目:20~100Nm
- 2台目:6~30Nm
死角が無い。
6.TONE プレセット形トルクレンチ T3MN100 差込角9.5mm 100N・m
トルク設定が、直接数値を読み取ることができるメカニカル機構のデジタル表示なってます。
アナログトルクレンチは、メモリを読んでトルク設定するのが面倒なのを解消している。
デジタルトルクレンチと言っていいのか微妙だけど、使えるのは確か。
TONEは、KTCに次ぐ日本の総合工具メーカーなで、安心して使える。
7.TONE ハンディデジトルク
普通のレンチとソケットの間につけてトルクを測定するトルク測定器。
- 2種類の測定モード(ピークモード、トラックモード)を切り替え可能
- 目標トルクに近づくとブザー音(断続)でお知らせ
- 左右両回転方向に対応
厳格なトルク管理はムリだけど、目安として使うならアリ。
メンテの限界も気になる
トルクレンチが必要な理由! まとめ
ベテランのバイク乗りほど手の感覚にたよらずトルクレンチを使います。
トルク管理の重要性を知っているからです。
人の感覚は気まぐれ。
どこまで締めるか、ロシアンルーレットみたいなメンテを続ける?
ツールにできることはツールに任せて、安心してバイクに乗りませんか?
トルク管理は、まともなトルクレンチを正しく使えば難しくない。
使う頻度が高いので、買って損の無いツールです。
ツーリング中にねじが脱落して、レッカーを待つのは悲しいからね!
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