ヤマハ SR400、セロー、トリッカーが販売終了。
残るは、カワサキKLX230、ジクサー150のみ。
空冷単気筒は、絶滅寸前です。
空冷単気筒って、何が良いの?
水冷多気筒の方が、パワーあるのに!
そんな疑問を解消します。
- 名車3台の最後
- 空冷単気筒のメリット8選
- 空冷単気筒のデメリット3選
こんな内容を知ってスッキリしよう。
空冷単気筒は、かつての2ストと同じ運命をたどろうとしています。
確保するなら、待ったなし。
【追記】350cc空冷単気筒がでましたね!
ヤマハ SR400、セロー・トリッカーが販売終了
SR400、セロー、トリッカー
3台とも、間違いなく一時代を築いた名車です
2021年で販売終了がアナウンスされてる、空冷単気筒3台。
- SR400:1978年発売開始
- セロー:1985年発売開始
- トリッカー:2004年発売開始
各車の詳細を今さら説明する必要もありません。
上の3枚の写真を見て、どれがどのバイクか解らない人が居るはずも無い。
バイク乗りなら、誰でも知っている名車なのは間違い有りません。
バイクに興味を持ったきっかけが、この3台。
初めてのバイクが、空冷単気筒と言う人も多いはずです。
空冷単気筒ほど、バイクらしいバイクもありません。
今なら、まだ新車が確保できるけれど
今後、250cc以上の空冷単気筒が新発売される可能性は、限りなく低い。
残るは残るはKLX230、ジクサー150
アドレス110、シグナスX、モンキー125といった125cc以下に空冷単気筒は残ってます。
けれど、125cc以上となるとKLX230、ジクサー150の2機種のみ。
250ccに満たないのはチョット寂しいけれど、最後の砦なのは間違いない
250cc以上の空冷単気筒は、SR400、セロー、トリッカーの終了で絶滅しました。
実際にセローに7年ほど乗ってました
セローなら『何でもできる』というのは本当です
パワーが欲しくならない不思議なバイク
絶滅は、本当に勿体ない
空冷単気筒の魅力、メリット8選
空冷の魅力・メリットはこの8つ。
- 軽い
- 安い
- 空冷フィン
- スリム
- 低速トルク
- 低燃費
- 鼓動(振動)
- 長寿命
1.空冷単気筒は軽い
完璧がついに達成されるのは、何も加えるものがなくなった時ではなく、何も削るものがなくなった時である。
サン・テグジュペリ 『星の王子さま』著者
空冷単気筒は、4サイクルエンジンとして、これ以上削るものは、何も有りません。
- 単気筒なので、燃焼室は1つしかない
- 空冷なので、ウォーターポンプもラジエーターも無い
シンプルだから、部品点数が少ない。
部品点数が少ないから、軽い!
バイクにとって、軽さは絶対正義です。
加速も良くなるし、ブレーキも良く効く。
ライダーの体重移動に対する反応も良くなる。
取り回しも軽い。
Simple is best!
吸排気バルブが無い2ストはもっと削れるけれど、
とっくに絶滅済みです
2.空冷単気筒は安い
無駄なものが無いので、安い。
軽さと同様に、安さも絶対正義です。
水冷システムも無いし、燃焼室は1つだけ。
最小構成なので、安い。
125ccのコスパは抜群だけど、250ccの空冷単気筒には125ccを脅かすポテンシャルがあります。
最近の空冷単気筒はそれほど安くない
水冷多気筒に比べれば、まだまだ安い。
けれど、昔の空冷単気筒に比べると高い。
これは、空冷単気筒に限らずバイク全体に言えます。
環境性能のため、騒音防止のため、高価な触媒やインジェクション、ABSなどが必要になりました。
もともと安価だった空冷単気筒は、コストアップが目立つので高価になった印象を受けます。
3.空冷単気筒は空冷フィン
空冷エンジンは、排熱を空気中に放出するしかない。
だから、空冷エンジンには、フィンが付いていて、表面積を稼いでます。
水冷のように、エンジンの周りを水路が巡って、ブクブク太ってません
スリムな空冷フィンのたたずまいは、愛でずにいられない
目的地に到着して、エンジンを止めた後、エンジンが収縮する『キンキン』という音。
フィンに共鳴して歌声のようにさえ聞こえる。
フィンの間隔・突き出し量には、人それぞれの美学があり、容易には譲れない。
4.空冷単気筒はスリム
空冷単気筒は、横から見たフィンの造形も良いけれど、
正面から見た、スリムさにも引かれる
エンジンが横に出っ張ってデブっておらず、
お弁当箱みたいな、不格好なラジエーターも無い。
エンジンがコンパクトで軽いので、
タイヤも細身で、ひらひら舞える。
5.空冷単気筒は低速トルク
- 低回転では、単気筒の方がパワーがある
- 高回転では、多気筒の方がパワーがある
普段、そんなに回して乗ってますか?
単気筒は、全排気量を1つの燃焼室で爆発させます。
だから、1回当たりの爆発力は、同一排気量の多気筒車より大きい。
例えば、4気筒バイクは、1気筒バイクの1/4の爆発力しかありません。
その分、4回爆発するのだけれど、気筒分だけ摩擦やロスが大きい。
同一回転数では、単気筒の方がトルクがでます。
4気筒は、このネガを回転数で稼いでます。高回転まで回してパワーを出してます。
だから、多気筒はパワーバンドが狭くて高回転より。
気合を入れて回せば早いけど、普段使いなら単気筒のほうがパワーがある。
6.空冷単気筒は低燃費
多気筒はピストンを小さく出来るので、マスが小さく高回転まで回せる。
単気筒は、高回転域は多気筒に敵わないけれど、普段使いの回転数はトルキー。
当然、単気筒の方が低燃費です。
250cc空冷単気筒で40km/Lなんて、燃費走行しなくても普通に出る。
- セロー 48.4km/L(60km/h)
- R25 37.7km/L(60km/h)
7.空冷単気筒は鼓動(振動)
4気筒はクランク軸2回転あたり4回爆発するのだけれど、単気筒は1回だけ。
だから、爆発の間隔が全然違います。
1回当たりの爆発力も違います。
4気筒がモーターのように抑揚無く回るのに対し、『ドドド』と鼓動感たっぷり。
萌えずにいられようか!
8.空冷単気筒は長寿命
空冷単気筒は、部品点数が少ない。
だから、壊れにくいので長寿命です。
全ての部品が正しく動いて、初めてシステムが成立する直列システムの場合
信頼度が Ri(t)であるサブシステムを n 個直列に接続したシステムの信頼度は
信頼度 R(t) = R1(t)・R2(t)・・・Rn(t)
信頼度 = 部品A ✖ 部品B ✖ 部品C ✖ ・・・・
掛け算なので、部品点数が少ない方が信頼性が高い、という単純な話です。
メンテもしやすい
部品点数が少ないので、構造が単純です。
素人でも、案外いじれてしまうのが空冷単気筒。
例えば、点火プラグなんて、空冷単気筒は丸見え!
交換はあっという間。
空冷単気筒のデメリット3選
ほんのわずかな、些細な話だけれど
空冷単気筒のデメリットもあります
- ウルサイ
- 遅い
- 環境性能がイマイチ
1.ウルサイ
- 多気筒のように、チマチマ燃やしてない
- 水冷のように、水路のオムツで隠してない
男は、隠し立てせずにドッカンドッカン行きたい。
アイドル時の多少の音は、致し方なし。
高回転まで回らないので、トータルでの騒音それほどでも無い。
2.遅い
高回転まで回らないので、最高出力は多気筒には勝てません。
パワー = トルク ✖ 回転数
待望の250cc4気筒 Ninja ZX-25R は、33kW(45PS)/15,500rpm!
セローは、14kW(20PS)/7,500r/min!
ZX-25Rは、2倍の回転数で、2倍の最高出力を得てます。
回さなければ4気筒の意味は薄い
250ccでも、公道で1万rpmを維持するのは難しい
加速の一瞬は差が出るけれど、ほんの一瞬とも言えます
セローでも、高速道路を巡行する事は可能です。
120km/hくらいが一杯いっぱいだけどね!
高速道路の走行車線の流れに乗るのに不満は無い。
下道では、全く不満無い。
3.環境性能がイマイチ
空冷は、車速・気温によってエンジンの冷却状態が変わります。
水冷のように、いつでもどこでも最適な一定温度という訳にはいかない。
だから、ガソリンが完全燃焼できずに、燃えカス(NOx)が出るときもある。
冷却出来ずにエンジンが高温になっても大丈夫なように、ピストンクリアランスも大き目です。
隙間からエンジンオイルが入り込んで、燃えてNOxがでてしまう。
高価な触媒を使って、大気中に放出しないように努力はしているけれど、限界がある。
流石に、このご時世
250cc程度なので、
チョットだからいいでしょ?
とはいかない。
エンジン添加剤で、エンジンをきれいに保つのいう努力もあるけどね。
空冷単気筒の魅力を新車で味わうラストチャンス まとめ
Ninja ZX-25Rのように、市場の要望で250cc4気筒が復活することもあります。
空冷単気筒が最新技術によって復活する日も期待したい。
けれど、ヤマハTW、スズキ グラストラッカー、ホンダ FTR。
先に逝ってしまった空冷単気筒なバイクたちと同様、復活は厳しそうです。
125ccがコスパ抜群なのは間違いないけれど、
空冷単気筒な250ccのメリットは、125ccにも負けてない。
新車で確保できるのは、今だけ!
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