1999年:世界初の量産アイドリングストップバイク(50cc ホンダ ジョルノクレア)販売開始
2010年:125cc初のアイドリングストップバイク(PCX)販売開始
あれから月日が流れました。
そろそろ、決着を付けよう!
バイクのアイドリングストップって
意味あるの?
・燃費が良くなるの?
・環境に優しいの?
・バッテリーを傷めない?
そんな疑問を解消します。
- アイドリングストップ機能のあるバイク
バッテリーを痛めることは無い
5秒以上で燃費が良くなる
20秒以上でCO2排出が減る - アイドリングストップ機能の無いバイク:
キースイッチでの手動アイドリングストップは怖い
バッテリーを痛めるのでやめた方が良い
こんな内容を知って、スッキリしよう。
気になる景色に出会ってバイクを止める。
その瞬間にアイドリングストップで静寂が訪れる。
- 波の音
- 風のはためき
- 虫の音
環境音の全てが聞こえてくる。
アイドリングストップの恩恵ですね。
バイクのアイドリングストップは効果あるの?【自動は使わないと損】
停止すると自動的にアイドリングストップする機能が付いているバイク
この自動アイドリングストップ機能は効果があるのか?
まずはPCXなど、バイクにアイドリングストップ機能が付いている場合を考えます。
この自動アイドリングストップ機能は効果があるのか?
結論を言ってしまえば、効果あります。
- デメリット:バッテリーを痛めるデメリットは無い
- メリット:使い方しだいで燃費が良くなる
- メリット:無駄なCO2排出を抑えられる
- メリット:停止中の騒音が無くなる
1.デメリット:バッテリーを痛めるデメリットは無い
バイクの自動アイドリングストップは車のそれとは別物
バッテリーを傷めない
PCXにアイドリングストップ機能が付いてから十数年。
ホンダはリード、ディオ、ジョルノなどのバイクにもアイドリングストップが付いた。
ヤマハはやや遅たけれど、NMAX,VINOにアイドリングストップが付いた。
しかし、いまだにバイクの自動アイドリングストップ機能は認知されてません。
アイドリングストップというと、車のアイドリングストップを思い浮かべる人は多い。
車とバイクのアイドリングストップは全く別物です。
車のアイドリングストップ
車のアイドリングストップは、セルモーターを回してエンジン再起動する
- 異音が出る
- バッテリーを痛める
- 赤信号で、ブレーキを踏み停止する
- エンジンが止まる
- 青信号でブレーキを解除
- 『ガリガリガリッ』
- 車体を揺らしながらエンジンが掛かる
車のアイドリングストップからの再始動はこんな感じ。
『ガリガリガリッ』と異音が出る
『ガリガリガリッ』というのは、セルモーターがフライホイールを回している音です。
セルモーターのギアが飛び出してきて、フライホイールのギアと噛み合って、エンジンを回します。
(上の動画で小さなギアが飛び出してくるのが見えます)
飛び出し噛み合うのだけど、経年変化などで噛み合わせが悪くなってくる。
すると『ガリガリガリッ』と異音が出ます。
バッテリーを痛める
アイドリングストップのたびに、セルモータを回すためバッテリーが大電流を流す
- バッテリーの消耗が大きい
- 高価な大容量のバッテリーが必要
セルモーターで重いエンジンを回すには、大電流が必要です。
車が停止するたびに大電流を放出るのだから、バッテリーの消耗が早い。
放充電を繰り返すとバッテリーがヘタるのは、スマホと同じ。
さらに、頻繁にアイドリングストップしても大丈夫なように、大きなバッテリー容量が必要です。
高価で大容量の専用バッテリーを積む必要があります。
それでも、酷使されるバッテリーの寿命は長くはない。
- アイドリングストップによるガソリンの節約金額
- 高価なバッテリーの交換費用
本当に節約になっているのか?
疑問視する声もあります
最新の車、ヤリスはアイドリングストップ機能がついてません。
バッテリーの消耗・燃費の最適解の1つかもしれない。
バッテリー寿命の見極め方は、ココ
バイクの自動アイドリングストップ
photo by Honda
バイクの自動アイドリングストップ機能は、全く別物です。
セルモーターは存在しません。
エンジンの始動と発電をACG(AC Generator:交流発電機)が兼ねてます。
- エンジン始動時
AGCにバッテリーの電流を流して、エンジンを動かす - エンジン起動中
AGCはエンジンと共に回って、発電してます
AGCは常時噛み合っているので、『ガリガリ』音がしないのがメリット。
さらに小電流でエンジンを回せるので大きなバッテリーが要らないのもメリット。
大きなパワーが出せないのがデメリット。
大きなバイクに採用は難しいけど、小さなパワーでエンジン始動させます。
それが証拠にPCXは、通常125ccと同じバッテリーを積んでます。
- 車のようにガリガリ音が出ない
- 小電流で済むのでバッテリーを傷めない
- 大きなバッテリーも要らない
だから、バイクのアイドリングストップはバッテリーを傷めるデメリットが無い
2010年発売の初期型PCXでは、制御ソフトの不具合によりバッテリーがあがってたことも事実。
だけど、そんなことはとうの昔に対策されてるので、何の心配もいらない。
バッテリーを長持ちさせる方法は、ココ
AGCの詳細は、ココ
2.メリット:使い方しだいで燃費が良くなる
- 一瞬の停止では、アイドリングストップにより燃費は悪くなる
- 長い停止では、アイドリングストップにより燃費は良くなる
- 郊外のツーリングでは、アイドリングストップの出番なし
アイドリングストップしたエンジンを再始動させるには、より多くのガソリンが必要です。
だから停止時間が短いと、却ってガソリンを多く消費してしまう。
要するに、バイクに乗る状況しだいで燃費は変わります。
2000cc AT車の場合、5秒以上アイドリングストップすると
エンジン停止中のガソリン節約 > 再始動時のガソリン消費
の関係が成り立ち、燃費が良くなると言われてます。
※一般財団法人省エネルギーセンターのデータを引用
バイクの場合5秒が妥当かは微妙だけど、
短時間のアイドリングストップでは燃費が悪くなるのは、そのとおり。
では、実走行ではどれくらい節約になるのか?
PCXでは、一般的な走行パターンで7%燃費が良くなるそうです。
アイドリングストップシステムを使用しないときに比べてガソリンを約7%も節約できます
ホンダ公式サイトを引用
ならば、
- 短時間停止は、アイドリングストップ禁止
- 長時間停止は、アイドリングストップ有効
切替スイッチがあるから、出来るよね?
切替SW操作が面倒でない人は、それが一番です。
でも最初は出来ても、だんだん面倒になるのが普通です。
あなたの普段の乗り方、今日の行先などを考慮して、
アイドリング停止SWを切り替えよう
車とバイクの燃費の違いは、ココ
3.メリット:無駄なCO2排出を抑えられる
停止中のアイドリングにる無駄なCO2排出が抑えられる
再起動時にはCO2は増えるが、20秒以上の停止でCO2削減できる
地球温暖化の影響が人間活動による人為起源か否かは、意見の分かれるところ。
※地球環境研究センター 気候変動リスク評価研究室長を引用
全てがCO2の影響とは言い切れないけれど、無実とも言い切れません。
無駄なCO2は出さないに越したことは無い。
だから、『アイドリングストップは、CO2削減に有効』と言いたい。
だけど、エンジン再始動時には多くのガソリンを使うので本当にCO2削減になってるのか?
アイドリングストップのCO2削減 実験結果
- アイドリングストップによるCO2削減
- 再起動によるCO2増加
2つの関係を1300cc4輪エンジンで実証実験した結果によると
20秒以上アイドリングストップすると
CO2排出は低下する
※日本自動車整備振興会連合会を引用
バイクの場合は不明だけど、この結果を引用するとして20秒以下でCO2削減としよう。
一般的に赤信号の時間は、1~3分。(大分県警察本部データを引用)なので
20秒以上アイドリングストップする確率は高いですね。
つまり、
バイクのアイドリングストップは、CO2削減に有効!
4.メリット:停止中の騒音が無くなる
「ポテトッ、ポテトッ、ポテトッ」、爆音の三拍子
『サウンド』に聞こえるのは、あなただけ
ハーレーの独特な排気音は、アメリカ人には『ポテトッ』と聞こえるそうです。
だからアメリカではポテトサウンドと言われてます。
だけど、『サウンド』と呼ぶのは仲間内だけ。
周りの人にとっては、『騒音』でしかない。
深夜・早朝や住宅街では、配慮が欲しいですね。
車検対応マフラーなら、OK?
車検対応マフラーでアイドリングするのは自由です
でも、バイク乗りの地位向上のため、節度は持って!
爆音マフラーでアイドリングするのはアレだけど、車検対応マフラーなら法的には問題ない。
もし、そこが自宅の前だとしてもアイドリングするなら、アイドリングストップの必要はありません。
でも、ただでさえマイナーなイメージが付きまとう乗り物です。
なるべく配慮はしたい。
うるさいバイクについては、ココ
バイクのアイドリングストップは効果あるの?【手動は効果無し】
自動アイドリングストップ機能が付いたバイクは、125ccクラス以下のスクーターのみ。
自動アイドリングストップの機能が無いバイクが大多数です。
燃費や環境を意識する人が、手動でアイドリングストップすることもあります。
手動でエンジン停止し、手動で再起動。
この手動アイドリングストップ機能は効果があるのか?
結論を言ってしまえば、効果ありません。
却って逆効果になります。
- デメリット:キースイッチでのの手動は怖い
- デメリット:バッテリーを痛める
- メリット:無駄なガソリン消費・CO2排出を抑えられる
- メリット:停止中の騒音が無くなる
1.デメリット:キースイッチでの手動は怖い
手動アイドリングストップで灯火類が消灯してしまう
手動アイドリングストップの手順
- 赤信号で、ブレーキを踏み停止する
- 手動でキルスイッチを押し、エンジン停止
- 青信号でキルスイッチを戻し、キースイッチを回す
- 『ガリガリガリッ』
- 車体を揺らしながらエンジンが掛かる
キースイッチを切ってエンジン停止も出来るけど、止めた方が良い。
灯火類が消灯してしまうので、夜間に存在アピール出来ないからね!
やるなら、キルスイッチがおすすめ
だけど信号が青になって再始動時に、エンジンが掛からず焦るのがワンセット。
キルスイッチを戻さないとね!
スマートキーの電池切れが気になるなら
2.デメリット:バッテリーを痛める
手動アイドリングオフは、車のアイドリングオフと同じ
バッテリーに負荷が掛かる
車のアイドリングストップのところで触れたけど、スターターを使ったエンジン始動は
- 大電流が流れるのでバッテリーの負荷が大きい
- スターターを消耗して『ガリガリ』音が出やすい
バイクは手動アイドリングストップを想定してないので、小さなバッテリー。
せめて大きなバッテリーに交換しないと、バッテリーが持たない。
PCXのバッテリー型式は、ココ
3.メリット:無駄なガソリン消費・CO2排出を抑えられる
燃費・CO2排出を抑えられる可能性はあるけど
バッテリーの交換費用の方が大きいかもしれない
手動アイドリングストップでも、効果は同じです。
エンジン停止している時間が5秒・20秒以上なら燃費が良くなったり、CO2排出を抑えられます。
だけど、問題はバッテリー・セルモーターを酷使することによるデメリット。
バッテリーなどの交換頻度が、燃費向上によるコストを上回っては意味が無い。
それでもCO2削減のために手動アイドリングストップをしますか?
4.メリット:停止中の騒音が無くなる
燃費向上と同じ
騒音対策のためにバッテリーの交換頻度が飲み込めるのなら
騒音に気を配り、コストを顧みずに手動アイドリングストップするのは、志が高い。
バイク乗りの模範となり得ます。
だけど、そこまで気を遣うのなら、静かなマフラーに変えたら、とは思う。
ダサくないバイク乗りを目指すなら
バイクのアイドリングストップは効果あるの? まとめ
バイクの排気音は、バイクの魅力の1つ。
鼓動・呼吸とも例えられるアイドリング音は、バイク乗りをその気にさせてくれます。
20世紀はそれで良かったけど、それだけじゃ成立しない世の中になりました。
アイドリングストップ機能が無いバイクが、手動で行う必要は無いけれど
折角その機能があるのなら、使った方が良い。
バッテリーの寿命が縮んだりはしません。
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