バイクのディスクブレーキには、色々な種類があります。
- 片押し・対向
- 1pot・2pot・3pot・4pot
片押より対向の方が、良く効くの?
ポット数が増えると、何が嬉しいの?
そんな疑問を解消します。
片押し1ポットのベーシックなブレーキでも、公道での制動力に差はありません
違いはフィーリングとハッタリ
- 対向の方が片押しより反応がイイ
- ポット数が増えると剛性感が上がる
- 複雑な方が、凄そう
こんな内容を知ってすっきりしよう。
ディスクブレーキは、頭が良い人が作ってる。
地上の星ですね。
ディスクブレーキの効きの絶対値に差異なし
いきなり結論を言ってしまうなら
どの方式のディスクブレーキでも
公道での制動力に差は無い
1ポットが5mで止まれるなら、6ポットでも5m。
片押しでも対向でも、1ポットでも6ポットでも、制動距離は同じ。
どれでも十分な制動力は有ります (メンテしてれば)
サーキットなら差があるかもしれないけど、公道で差は無い。
『片押し1ポット』でもジャックナイフ可能です。
違うのはフィーリングとハッタリ
『片押し1ポット』より、『対向6ポット』の方が凄そうなのでハッタリは効きます。
違いが判る漢なら変えても良いけれど、まずはメンテして性能を引き出すのが先。
これで終わってしまう。
折角なので、ブレーキの違いも知っておこう。
- 片押し・対抗は何が違うのか?
- ポット数が増えると何が違うのか?
マニアックな内容なので、軽く雰囲気を掴んでもらえればそれで十分です。
ディスクブレーキ 片押し/対向の違い
片押し・対向キャリパーの違いは、構造の違いからくるフィーリングです。
制動力に差はありません。
片押しキャリパーの構造
片押しを考えた人は、天才に違いない
片押しはピストンが片方にしかありません。
もう片方は壁になっているだけです。
単純に片側から押すだけだと、ローターが歪んでしまう。
そこで賢い人は考えました。
ブレーキキャリパーをフローティングすれば
良いんじゃない?
キャリパーを左右に動くようにします
すると、ローターを押す力の反作用でキャリバーが左右に動いて
反対側のブレーキパッドが引き寄せられます
これで、ローターを歪めずに挟めます
下のGIFが解りやすい。
考えた人は、地上の星ですね。
ピストンを片側だけにするメリットは、計り知れません。
- コンパクト
- 部品点数が少ない
- 作りやすい
- 安価
対向キャリパーの構造
対向キャリパーは、パッドの両側にピストンがあります。
ブレーキを掛けると両側に力が伝わって、両側からピストンが対向して出てきます。
左右で押す力のバランスが崩れると、パッドが歪んでしまいますが
『パスカルの原理』で左右同じ力が加わるので安心してください。
パスカルの原理を忘れた人は、ココ
対向キャリパーは片押しの2倍効くのか?
対向キャリパーは片押しキャリパーの2倍ブレーキが効きません。
同じです。
片押しでも、反対側に反作用で同じ力が加わります。
それにブレーキで止まれる距離は、タイヤの摩擦だけで決まります。
今時のディスクブレーキで、タイヤをロックできないほど制動力の無いブレーキは有りません。
もし出来ないなら、今すぐショップでメンテして貰わないと危険なレベルです。
制動力と対向・片押しは関係有りません。
対向・片押しの違いはフィーリング
制動力が同じなら、何が違うのかと言うと
両者の違いは、『フィーリング』です。
フィーリングの違いは動作の違いからくる構造的な要因です。
片押しの動作
- ブレーキレバーを握る
- ピストンがローターに当たる
- 反対側のパッドが引き寄せられる
- 両側のパッドが当たって制動開始
対向の動作
- ブレーキレバーを握る
- 両側ピストンがローターに当たって制動開始
レスポンス
対向キャリバーの方が、ブレーキを握ってから制動が始まるレスポンスが早い
片押しは1から4でやっとブレーキが利くけど、対応は、1,2で効く。
片押しは、構造上キャリバーが動く時間が掛かるのは致し方ありません。
また、片押しは片側パッドが当たってから反対側を引き寄せるまでの間は『片効き』の状態です。
初期フィーリングが悪いのは仕方ない。
対向は打てば響くので、フィーリングがイイ。
剛性感
対向キャリバーの方が、カッチリしている
片押しは、構造上キャリバーが動かす必要があるのでガタが出るのは仕方ありません。
ストロークも長いので剛性感は出しにくい。
対向はキャリバーを1つの剛体で作れるので剛性感は出やすい。
剛性感があるとブレーキの効き始めからジャックナイフまで、効き具合をリニアにすることが出来ます。
対向はカッチリしているので、フィーリングがイイ。
放熱性
対向の方が放熱性が高い
対向は片押しに比べピストンが2倍です。
2倍のブレーキフルードに接しているので、2倍放熱し易いのです。
よって、2倍ペーパーロックになり難い。
最近のブレーキが公道でペーパーロックするなんてまず無いけどね。
ブレーキの揉み出ししてますか?
ディスクブレーキ ポット数の違い
ポット数とは、ブレーキキャリバーのピストンの数です。
1ポット(対向なら2ポット)
2ポット(対向なら4ポット)
黄色丸がピストンのイメージです。
ポット数が違うと、何が違うの?
2ポットは2倍効くの?
2ポットは1ポットの2倍効くのか?
2ポッドは1ポッドの2倍効きます
けれど、1ポッドでも必要十分
ピストンの直径が同じなら、2ポッドは1ポッドの2倍効きます。
この、『ピストンの直径が同じなら』は、超重要!
後で出てくるので、覚えといてね
1ポッドでもタイヤの摩擦力を上回る制動力は出せます。
タイヤのグリップ限界以上の制動力が出ても意味は無い。
このため、実用としては1ポットと2ポットの制動力は変わりません。
ディスクブレーキの制動力
制動力 = ローター半径 × ピストン面積 × ピストンの数 × 油圧
制動力は、4つの要素に比例します。
- ローター半径
- ピストン面積
- ピストンの数
- 油圧
ピストンの直径(面積)が同じなら、ピストンの数だけ制動力は高くなります。
1.ローター半径
ディスクローターが大きいほど、制動力が大きくなるのは雰囲気で解ります。
2~4 ピストン面積 × ピストンの数 × 油圧
あらゆる地点の圧力は等しい
『パスカルの原理』ですね。
対向キャリパーの構造のとこでも出てきたから、理解してるはず!
マスターシリンダの面積とキャリバーピストンの面積合計(ピストン面積×ピストンの数)の比は油圧の比に等しくなります。
- マスターシリンダー 10mm2
- ピストンの面積合計 100mm2
- ブレーキを20kgFで押した
例えばこの場合は、ローターに 20kgF×100mm/10mm= 200kgF。
ブレーキレバーを操作した10倍の力がローターに掛かります。
この辺りは、フーンと見てもらうだけで十分!
実際の1ポット、2ポット
実際には、1ポットと2ポットとほとんど面積は同じ
だから、制動力に差は無い
実際には、1ポットの場合はピストン直径が大きく出来るので、2ポットとほとんど面積は同じ!
上の絵のような大きなピストンが付いてます。
1ポットと2ポットで面積は大差ない。
面積が同じなら、ローターを挟む力も同じ。
ということは、
実際の1ポット、2ポットは、制動力に大差無し
黄色の面積に大差無いので、制動力に大差無し。
1ポット、2ポットのフィーリング
制動力に差が無いなら、何が違うかと言うとこの2つです
- フィーリング
- 見た目
フィーリングの違いは動作の違いからくる構造的な要因です。
見た目も大事な性能です。
1.フィーリング
ポットが増えると、カチッとしたフィーリングになる
1ポットはパッドの真ん中しか抑えられません。
しかし、2ポット・3ポットと数が増えるとパッドのアチコチを押さえられる。
パッドを均一に押さえることが出来ます。
均一の力で押さえるとカッチとしたフィーリングが出ます。
ブレーキの効き始めからジャックナイフまで、効き具合をリニアにすることが出来ます。
2.見た目
2ポット
4ポット
6ポット
見た目も大事な性能です
最近はラジアルマウント4ポットが流行りです。
6ポットはあまり見掛けなくなりました。重厚長大なのかもしれません。
しかし、ポット数が多い方がカッコイイのは、間違いない!
豪華なブレーキが好きな人は、タイヤ空気圧を落としてる?
ブレーキキャリパー片押し/対向、1ポット/2ポット まとめ
片押し1ポットでも、公道での制動力は十分にあります。
レスポンスや剛性感は対向・2ポットが優れています。
- 片押し
コンパクトで安価 - 対向
フィーリングがイイ(レスポンス・剛性感)
放熱性がイイ - 1ポット
安価 - 2ポット
フィーリングがイイ
見た目がイイ
趣味でバイクに乗っている人にとって、
・必要十分
・使い切れない
こんな言葉は意味がありません。
高性能なプロが使っている機材は、やはり手に入れてみたい。
ブレンボのロゴシールだけ売ってたら、欲しいですよね?