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シーズン2第12章:滝桜とドナドナと骨折と

滝桜 Season 2

春、念願の桜の大木に会いに行った。

福島県三春町の滝桜だ。


ずっと見に行きたかったが、なぜか公共交通機関で行こうと思うことはなかった。

幸運にもバイクがある今年、思い切って行ってみることにした。

バイクで桜をたくさん見に行く、それがバイク復帰のひとつの目的でもあった。



とうとう自分のバイクを所有して、乗りたい時に乗れるようになった 長年漠然と抱えてきた思いが、実現したのだ

シーズン2は、より遠くへ行くことよりも、無理なく少しずつ カッコつけではなく、ゆっくり確実丁寧に走ることを大切にしよう

みどりのシカ





満開の滝桜ツーリング

タイミング良く見頃に間に合った滝桜は、それはもう見事だった。

大きくてゆったりとした樹形、優しい桜色の花びら。

木の根元には小さな祠が設置されていたから、やっと会いに来られたご挨拶をした。





しかし、桜を間近に見ている時、私の足は骨折していた。

まさか折れているとは、その時は思っていなかったけど。



前泊

前泊

三春町で一泊し、滝桜へは翌日の早朝に向かった。

かなり混み合うと聞いていたので、空いているうちにゆっくり見たいと思った。

帰路もまた、道路が空いている時間帯に焦らずにマイペースで走りたいという思いもあった。

早起き、早出発は、いつ何時もほぼ正解だと感じている。

確実に空いているし、人が少ないし、何より気持ちがいい。

レトロな銭湯併設の宿は思った以上に素敵だった。

素泊まりだから、支払いは前日済ませ、

朝は鍵を帳場のカウンターの窓の中に置いて見送りなし。

天気は晴れ。

いいぞ。

バイクに荷物を積み、宿とバイクの記念写真を撮り、いざ出発だ。


いざ、滝桜へ

いざ、滝桜へ

頭にあらかじめ入れておいた地図を頼りに、滝桜へ向かう。

途中の道沿いに普通にある桜の木々の見事なこと。

バイクを止めて写真を撮りながら進む。

だから、なかなか目的地にたどり着けない。


さあ、やっと着いた。

もう人がけっこういる。

滝桜を見下ろす場所の入り口が開いていた。

注意書きを探したが、特に無い。

そろりそろりとバイクで乗り入れる。

ああ、あれが滝桜か。

思ったより小さく見えるが、そこからはかなり距離があった。


バイクがペタリ

立ちゴケ

愛車と桜のツーショットを撮影していると、通りがかりの人にいきなり注意された。

ここ、入っちゃだめだよ!

前後して警備員も来た。大きな声で指示された。

そこ、車両入っちゃだめだから、早く出てください!



焦ってあたふたしている時に、バイクがペタリとこちら側に倒れてきた。

アッ、と思った時にはもうバイクは私の足の上に寝そべっていた。



おりゃー!

しかし、ガソリンも満タンだったのに、気合ひとつで速攻引き起こすことができた。

過去、レンタルセローを起こせなかった経験から、なるべく軽そうな今のバイクを選んで正解だった。






そこに、もう1人警備員が来た。

バイクが倒れて慌てている私を知ってか知らずか、急き立てる。

早く出てください!そこ、だめです、そっちもだめです。






じゃあ、どこに置いたらいいですか?

バイク壊れたみたいなんだけど。




むこうから駐車場に行ってください!

駐車場は遠かった。

かろうじてエンジンは始動。

しかし、ギアチェンジができない。

終始ローギアで進む。

もう、開き直るしかない。

そんな時の人間は強い。

冷静にバイクショップでほぼ義務的に申し込みを勧められたトラブル対応の保険会社に、電話。

朝6時台にだ。

スムーズに話が進み、1時間後に来る予定のレッカー車を待つ。




あとは、すべてお任せだ。



ドナドナ

痛い、けど、歩けないほどではない。

せっかくここまで来られたのだから、思う存分見ていこう。



駐車場から桜までは、けっこうな距離があった。

痛い足の甲をかばいながら、一歩一歩ゆっくり歩き続けた。

私は桜を堪能した。


大きなトラックにポツンと積まれた愛車を見送った後も、帰りのバス時間まで、アイスクリームを食べながら桜を見た。

情けなさと、なぜここで?というやりきれない思い。

アイスクリームは複雑な味がした。

桜の見える出店のベンチでソフトクリーム。


バイクが無くても、ライダーの義務を果たす。


滝桜は堂々として美しかった

滝桜は堂々として美しかった

何本もの支柱に支えられながらも、滝桜は堂々として美しかった。



足は痛みが続き、会場入口の若いスタッフさんに事情を話し、シップを貰って道端で足に貼った。

孫がいたらそれくらいの年齢だろうか、彼らは、とても心配してくれて、優しくして頂いた。

保険は正直高い。けれど、この時ほどありがたみを感じたことは無い。

怪我のオプションも追加していたから、その後の対応も順調に進めていただいた。



骨折と診断されると、通院の保険も適用された。

まことにありがたいかぎりだ。

通院は楽しいことではないが、そこにはバイク乗りの先生がいた。



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