原付1種相当に出力制限した125ccを原付1種扱いするという、原動機付自転車の区分見直しが施行されました。
規制緩和なので喜ばしいことなのですが、原1に出力制限した125ccが追加されただけ。
『原1免許で125ccが乗れるんだ!』とナナメ読みしないで!
自動車免許で原2に乗れるわけじゃありません。念のため。
30km/h制限、2段階右折も、変わらない。
二輪の原動機付自転車のうち、「総排気量が0.050Lを超え0.125L以下であり、かつ、最高出力が4.0kW以下のもの」を第一種原動機付自転車に新たに追加します。
公布・施行 : 令和6年(2024年)11月13日
国土交通省:原動機付自転車の区分を見直します
原付1種に出力制限付き125ccが追加された経緯
- 2019年令和2年排出ガス規制
温室効果ガスの削減のため、EURO5相当の排ガス規制を2020年12月に実施すると公布
但し、原付1種(50cc)にあっては、2025 年 11 月から適応※国土交通省:ガソリン直噴車及び二輪車等の排出ガス規制を強化します
- 2019年~バイクメーカ
ムリムリ!
50ccを排ガス規制対応するのは、技術的にもコスト的にもムリムリ
規制緩和してくれないと、原付1種の生産を終了するしかない - 2023年検討会を実施
なら、出力を50cc相当に制限した125ccを原付1種扱いしたらどう?
『二輪車車両区分見直しに関する有識者検討会』を3回開催して
出力制限した125ccの走評価などを実施し、提言を取り纏めた - 2024年原動機付自転車の区分を見直す
法改正
二輪の原動機付自転車のうち、「総排気量が0.050Lを超え0.125L以下であり、かつ、最高出力が4.0kW以下のもの」を第一種原動機付自転車に新たに追加します。公布・施行 : 令和6年(2024年)11月13日
※国土交通省:原動機付自転車の区分を見直します
地球温暖化対策としての温室効果ガスの削減のため、排ガス規制は厳しくなるばかり。
欧州のEURO5相当の排ガス規制が、日本でも適用されることになりました。
しかし、50ccは排ガス浄化装置が働くほど高温にならないので、今以上の浄化を低コストで行うのは困難。
日本独自規格の50ccを排ガス対応するのはムリ。
かといって、日本の2輪販売台数の1/3は50ccの原付1種。(一般社団法人 日本自動車工業会データを引用)
日常の足として定着しているので、無くすわけにはいかない。
出力を50cc並みにした125ccを原1扱い
そこで、125ccに50cc相当の出力制限を付けることで、原1扱いすることになりました。
30km/h制限や2段階右折の見直しは行われなかったので、そのまま。
自動車免許で原2(125cc)はダメ!乗れません
自動車免許に付帯の原1免許が、原2に拡大された訳じゃありません
原1免許で、今の125ccに乗れるわけでもない
『原1免許で125ccに乗れる!』とナナメ読みするのは大間違いです。
あくまで原1の救済措置。
『50cc並みに出力制限する装置を付けた125cc』が原1扱いされるだけです。
原付2種は何も変わらない。
自動車免許で、今の125ccに乗れるわけじゃ無い。
出力制限したアメリカンも出て欲しい?
原付1種に出力制限付き125ccが追加 懸念はないのか?
125ccの車体は50ccより大きくて、重い。
これを50cc並みに出力制限することに、懸念は無いのか?
もちろん、懸念はあります。
しかしそれは50cc原付1種を無くすこととのトレードオフ。やってみるしかありません。
- 大きく重くなって、扱えるの?
- 車体の価格帯が上がってしまわない?
- どうやって原2と区別するの?
- 出力制限を違法にカットする人が出て来ない?
- せっかく法改正するなら、30km/h制限止めたら?
1.大きく重くなって、扱えるの?
実証実験では、許容範囲だった
今回の改正内容に合わせて出力制限した125ccを用意して、実際に走行実験が行われました。
加速性能、走行性能や取り回しなど、おおむね扱える範囲との結果です。
125ccの車体に50ccの出力で大丈夫?
50cc相当の4kWで頭打ちの出力制限なのに、125ccの重さです。
現行の50ccより鈍重になると思われます。
それに、30km/h制限や2段階右折はそのまま。
公道において、より危険な存在になりそうな・・・。
足つき悪くならない?大丈夫?
足つきのいい機種が選ばれるはず、きっと
最近のバイクはグローバル化により世界中で売るため、伝統的な日本人体形には合わせてくれません。
125ccでもシート高が高く、身長170cmでカカトが浮く機種も珍しくない。
現行原1のシート高は、さすがの低さです。
- ジョルノ50:シート高720mm
- ベンリー50:シート高710mm
一方、125ccクラスは
- スーパーカブ110:シート高735mm
- ディオ110:シート高760mm
- PCX125:シート高764mm
- CB125R:シート高815mm
比較的シート高が低い、カブ110、ディオ110などが選ばれると思われます。
PCXは125ccとしても大柄なので、たぶん出力制限機種には選ばれない。
にしても、現行50ccよりはシート高が高くなるで、低身長の方は辛いかも。
カッコいい125ccも対応して欲しいですね
2.車体の価格帯が上がってしまわない?
高額になると思われます
- 現行50cc:20~30万円
- 現行125cc:30~50万円
普通に考えると、現行125ccに出力制限機構を付け加えるのだから、現行125ccより高くなる。
安価なスーパーカブ110、ディオ110などを改造するにしても30万+アルファの価格になる。
CB125R(50万円)が対象になることは無いにしても、何らかの補助が入らないと厳しいですね。
50cc相当の価格に据え置きなら
何らかの補助が入り、消費者の負担が増えないとしたら・・・。
これを買って出力制限を外し、原2登録する人が出て来ないかな。
3.どうやって原2と区別するの?
ナンバープレートの色、△マークなどで出力制限有り無しを区別する見込み
例えば、
- 出力制限あり原1扱いの125cc:赤色ナンバー
- 出力制限無し原2扱いの125cc:ピンクナンバー
とかね
検討中ではあるけれど、
現行の原1、原2と同様な手法が用いられる見込みです。
4.出力制限を違法にカットする人が出て来ない?
ハード的なスロットル開度制限
ソフト的な回転数制限
出力制限をどんな形で実現するにせよ、簡単には出力制限を外せないようにするはず。
でも、イタチごっこにはなるでしょうね。
車検の無い原1で、違法改造をどう摘発するのかも、難しい。
いずれにしても、方法論はメーカに丸投げ。
小型二輪許を取った方が早い
危ない橋を渡るより、小型二輪免許を取って出力制限の無い125ccに乗った方が早い。
きっと、バイクの選択肢も広がります。
5.せっかく法改正するなら、30km/h制限止めたら?
そこに踏み込む気は、全くなし
原付1種の30km/h制限は、現在の交通インフラには合ってません。
車の流れについていけないので危険。
流れに乗ろうとすると、スピード違反を誘発します。
スピード違反を捕まえてガッチリを狙ってる?
原付1種に出力制限付き125ccが追加 まとめ
排ガス規制の厳格化により、発熱量の小さな50ccの延命は不可能となりました。
代わりに、出力制限された125ccが、新環境規制が始まる2025 年 11 月までに登場する見込みです。
- 50ccの排ガスが、地球温暖化にどれほど悪影響をもたらすと言うのか?
- 排ガス対策のため、排気量アップして燃費が悪くなるのはどうなの?
そんなことを言えるような雰囲気では無いようです。
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