バイク乗りなら、バイクの小説も気になる。
バイクがキーになってる小説で
おすすめは?
そんな疑問を解消します。
おすすめの本は、こんな書き出しで始まります。
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カワサキのオートバイにまたがって、ぼくは、にぎりめしを食べていた。
サイド・スタンドが雑草をまきこみ、土の中にすこしめりこんでいた。
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『彼のオートバイ、彼女の島』 片岡義男 (著) 1977年初版。
片岡義男さんの文体は、熱いのに表面は冷めてます。
好き嫌いで評価は分かれるのだけれど、ハマると抜け出せない。
続きを読まずにいられますか?
「彼のオートバイ、彼女の島」 片岡義男 (著)
夏と、島と、オートバイ。
退屈を知らない日々のためには、
まずその3つが必要だ。
『彼のオートバイ、彼女の島』 片岡義男 (著)
これ以上何も語るべきものは有りません。
紙媒体は絶版になってしまったので電子書籍のみです。
オートバイが重要な意味を持つ小説の代表格が、この『彼のオートバイ、彼女の島』 片岡義男 (著) です。
『彼のオートバイ、彼女の島』あらすじ
まだ、誰でもない主人公の男が、誰かに成ろうと自分の居場所を探します。
そこにはありがちな野心とか功名心は有りません。
全てを退屈と切り捨てて、オートバイだけが退屈で無い世界への入り口と考えてる男。
何に対しても冷めている男ですが、オートバイにだけはこだわりを持っている。
世間や将来に対する冷めた見方は、最近のさとり世代に通じるものが有ります。
彼の旅がストーリー。
男が、
『オートバイで』
『島に行き』
『彼女に出会い』
誰かになった。
そんなお話。
著者 片岡義男さん
片岡義男さんの本は軽く読めます。
この本も半日有れば余裕で読めます。
小説というものは主義主張を込めた重いものという従来の価値観を変えました。
軽い文体でこれと言った物語の展開も有りません。
ジェットコースター的なストーリーを好む人には物足りなく感じます
でも、淡々とした情景描写がいい
平均的な一般人の人生は、従来の小説のようにドラマチックでは有りません。
淡々と日常が繰り返されます。
そんな日常も、こんな切り取り方があるのかと気付かされます。
一途に努力し成りあがっていくストーリーも引き付けられます。
でも『彼のオートバイ、彼女の島』 のような何気ない日常も等身大に引き付けられます。
大した人生じゃなさそうだと退屈している男を、自分に重ねあわせてしまう。
誰かに成りたいが熱い想いは暑苦しい。
都会的な雰囲気がする片岡義男さんの代表作の1つです。
この本を初めて読んだ時、私は通学用の原1免許しか持っていませんでした。
何処かで評判を耳にしてこの本を読み、バイク免許を取る事を決意しました。
くだらない日常をバイクが過ぎ去る景色に変えてくれる、と信じました。
バイトでお金をためて、免許と中古の250ccを手に入れました。
バイクの調子はいつも悪かったけれど、あの本のいう通り1度バイクから過ぎ去る景色を見ると、もう戻れません。
いつも笑いながら乗ってました。薄気味悪い男の出来上がりです。
バイクに乗るきっかけになった、 『彼のオートバイ、彼女の島』 は本棚にまだ有ります。
電子書籍版はスマホに入れて時々見てます。
あの時この本を読んで無かったらと思うと、ゾッとします。
「彼のオートバイ、彼女の島」 映画化
この本を原作として’86年公開の角川映画 「彼のオートバイ、彼女の島」 が作成されました。
監督:大林宣彦
キャスト
白石美代子 – 原田貴和子
橋本巧 – 竹内力
ヒロインの 原田貴和子さんは、女優:原田知世さんのお姉さんです。
この映画以外に目立つ足跡が見当たらないのは残念です。
しかしこの映画の中の彼女は、小説のイメージ通りの美しい女性です
この映画は彼女を見るためのもので、それ以上を求めなければ楽しめます
片岡義男の世界
著者の片岡義男さんは、’75年に『スローなブギにしてくれ』を発表。
この本で第2回野性時代新人文学賞を取られました。
その斬新な文体と世界観で大ブームを巻き起こした。
『スローなブギにしてくれ』 の出だしのストーリーは、こうです。
オートバイで第三京浜を走っている男の前を、白のムスタングが走っている。
車から子猫が放り投げられる。
オートバイの男は子猫を拾い、車を追いかける。
すると今度は、車から女が放り出される。
猫と女を拾った男の物語が始まります。
この本も映画化されました。
こちらの映画は興行的には大ヒットだったはずです。
ヒロインの浅野温子さんはまだ無名でしたが、
その後のご活躍は言うまでも有りません。
猫と女の物語にぴったりな子猫のような瞳を持つ女性です。
その瞳同様、子猫のようにクルクル変わる表情には、虜にならずにいられません。
同名の主題歌もヒットしました。
『彼のオートバイ、彼女の島』のすすめ まとめ
片岡義男さんの文体は、熱いのに表面は冷めてます。
好き嫌いで評価は分かれるのだけれど、ハマると抜け出せない。
バイク好きなら、一度は読んでおいて損は無い。
『フーン』で終わるかもしれないし、
バイクとの付き合い方を変えてしまうかもしれない。
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