私が東北の都会で一人暮らしを始めて何年になるだろうか。私の暮らす地域には七の付く地名がやたらにに多い。
七ツ森 、七ツ沼、 七ヶ宿などなど。
地名の意味は全く知らない。世の中のほとんどのことに無沈着な私には、どうでもいいことだった。
奇跡的にバイク復帰してから、ちょっとだけ、だけどそれなりに満足できる距離にも、七の付く海辺の街がある。飽きっぽい私だが、不思議なことにそこは何度行っても飽きるどころか、いつも新しい発見がある。
海に近い場所からは、太平洋とその反対側には東北の中心に縦に連なる山々が同時に見えている。海と山に囲まれた風景にとても感動した。なんて良いところなんだろう。
その海辺のことを調べてみると、七の付く地名の由来はそこに七つの浜があるからだと知った。

著者:あおいしか
12/11不思議の国ニッポンに生まれ、平和ボケして何となく生きてきて、バイク復帰も運命で決められていたとしか思えない今日この頃。
愛車のナンバーは3830。わかる人にはわかる数字。これからも平和ボケで生きていきたいです。
七の付く海辺のカフェで出会った銀色のオートバイ GSX1100S KATANA

七の付く海辺の街は、行くたびに発見と感動がある。
ある日は、海の色の美しさに感動し
ある日は、岬の突端の希少な神さまの神社を見つけてお詣りし
またある日は、ひっそりとした小さな漁港の岸壁のキラキラしたビーズアートを見つけたり
別の日には、桜がやたら美しく咲いている。
バイクを岸壁ぞいの邪魔にならないところに止め、岸壁に上って腰掛けて、砂浜の海岸のキラキラの海を見ながら休憩するのがお気に入りだ。
時間と共に変わり行く海の色を見ていると、心を煩わせていた小さな出来事が波にさらわれるように消えていく。
七の付く海辺のカフェ

岬の突端の神社近くに、七つの浜の内のひとつがある。そしてそこには小さな漁村とお気に入りのカフェがある。このカフェがお気に入りだ。バイク復帰してから何度も通っている。
この浜も例にもれず、東日本大震災の津波で甚大な被害を受けた。その復興の一環としてつくられた施設の中にカフェが入っているのだ。
おしゃれな店内からは海が見える。朝早くから営業していて、混雑を避けて日の出と共に行動している私にはありがたいカフェだ。開店早々には、私ひとりのことも多かった。
ホットドッグのモーニングはリーズナブルで、それもまたお気に入りの理由。対岸には奥松島が見えている。
小一時間から二時間ほど、読みもしない本をカウンターに置いたまま、ぼんやりと海を見て過ごす。視界の片隅には、愛車が岸壁の前で佇んでいる。
七の付く海辺のカフェで出会った銀色のオートバイ

夏がなかなか終わろうとしないある日の朝、またカフェに行ってみようとバイクを走らせた。カフェのある漁港へ行く手前は、海岸から急に上り坂になってカーブが2つ3つ続く。
いまだカーブが苦手な私は、バックミラーに映るターコイズブルーの海をチラ見しながらゆっくり走っていた。
ひとつのカーブを抜けると、バックミラーの海の色の中に一台のバイクが見えた。もう一度バックミラーを見ると、すぐ後ろまで来ている。色は銀色。
最後のカーブの手前で減速して左に寄り、先に行ってもらうよう道を譲ろうとした。
しかし、銀色のパイクはバックミラーの中でどんどん小さくなっていく。抜かす気はないという意思表示だ。
しかたなく再びアクセルを開けて加速した。目の前に迫るカーブを意識して曲がった。我ながら綺麗に曲がれた気がした。
坂を下るとまもなくカフェのある漁港の入口がある。いつもの岸壁の前にバイクをとめる。リアシートから荷物を降ろしていると、一台のバイクが少し離れた場所にとまった。
GSX1100S KATANA

さきほどの銀色バイクだ。
タンクにSUZUKIの文字が見えた。
あ、KATANAか。
スポーツバイクにほとんど興味のない私でも、 KATANAとNinjaはなんとなくわかってしまう。なぜか。
銀色のKATANAのライダーは、体格のいい外国人のようだった。さっきはどうもという意味で、会釈くらいしようかと思ったが、できなかった。
カラフルな出で立ちが、何となく近寄りがたかった。かなり個性の強さを感じてひるんでしまったのだ。人のことは言えないけど。
KATANAのライダーは海の見えない奥の席に座った。私はいつものお気に入りの席に座った。
特に言葉を交わすことも、ライダーによくある軽い挨拶をすることもなく、ただ同じカフェの中で同じ時を過ごす。
同じ道を走り、言葉を必要としないコミュニケーションを交わし、それぞれ一人で、同じ場所で同じ時を過ごす。
そんな粋な人との関わりをもてるのが、ライダーという人種なのだ。
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