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第17章:バイクに乗ったら友達たくさんできるかな?

友達たくさん出来るかな バイク女子

20代初めの頃、二輪免許の講習に通い始めるちょっと前。

バイクに乗るきっかけをくれた一人に、こんな質問をした。

「バイクに乗ったら友達たくさんできるかな? 」

まるで小学生のような質問だ。

バイクに乗ったら友達たくさんできるかな?

バイクに乗ったら友達たくさんできるかな?

小学生の頃、私は無口で内向的で学校では全く会話をしない子供だった。

友達もまともにおらず、5年生の頃、やっと2人の友達ができた。だけど、親友にまではなれなかった。

小学校から中学校へ進級する時、人生で一番、心から求めたのが友達だ。

命を懸けるほど、友達がほしいと望んだ。

「友達100人できるかな」そんな歌を口ずさんでばかりいた。



バイクに乗ったら友達たくさんできるかな?

バイクに乗ったら友達たくさんできるかな?

なぜか、その中学へ行けば、きっと友達がたくさんできるに違いないと思った。だから、親の反対にも先生の意見にも耳を貸さず、私立進学だけを目指した。

まんまと進学した私は、心の奥から求めただけあって、いまだに続く生涯の友を何人も得ることができた。




その中の一人の親友に彼氏ができた頃。バイク乗りだったその彼をきっかけとして、私はバイクと出会った。

2人のデートをしょっちゅう邪魔していた私は、彼に質問した。

「バイクに乗ったら友達たくさんできるかな?」




彼は言った。

「人によるね。バイクに乗らなくても社交的な人は友達出来るだろうし、そうでない人は、バイクに乗っても友達はできにくいんじゃないかな」

「そうなの・・・」

私はちょっとがっかりした。その頃の私には、中学と部活で出会った複数の親友たちがいたけど、私はけして社交的ではなかったから。


バイクに乗ってみて

バイクに乗ってみて

で、バイク女子時代に友達はできたのかというと、ずっと長く続くバイク友達はできなかった。旧友たちは誰もバイクに乗っていなかったし。



当時、たまたま同時期に中型免許を取った同級生がいた。紹介されて彼女の行きつけのバイクショップに通うようになったが、まあいろいろあって彼女とは疎遠になった。

バイクショップの常連さんたちと仲良くなったかというと、そうでもない。とある問題があって、終いには嫌われ者になってしまった。

バイク乗りとはいえ人間だから、人間関係のあれやこれやは避けて通れない。バイクに乗るからといって、すべての人と気が合うわけでもない。

ただ、ひとつだけ言えるのは、バイクに乗る理由を共有できること、かな。バイクが好きであること、それだけは皆同じ。だから、バイクショップはなんとなく居心地がいい。




いつも、一人なんだね

いつも、一人なんだね

ツーリング中の出会いもたくさんあったけど、連絡を取り続けている人はいない。

ピースサインや挨拶程度を交わした人は数えきれないほどいた。心から旅の安全と応援を交わしあう、ほんの一瞬の出会い。

バイクを通じて出会って恋愛したり結婚したりする人も多いと聞く。生涯の親友を得た人もいるだろう。

でも私は、終始ソロツーリングに徹したバイク女子時代だったというわけだ。

バイクショップの憧れの常連さんに言われた言葉を今でも思い出す。

「いつも、一人なんだね。誘ってくれればいいのに」


友達より自由

友達より自由

けっきょくのところ、私は友達が欲しい気持ちや、恋愛することより、自由に一人で走っていたい気持ちが強かった。



行き先も決めず、時間にも曜日にも縛られず、走り出したら行きたい方向へ気ままに向かう。止まりたい場所で止まって、写真を撮り、一休みし、また走りだす。そんな走り方が好きだった。

目的地を定めず、国道や県道から逸れてどこへ続くかわからない細い路地や未舗装路へ、ふと逸れてみたくなる。その先が行き止まりでも獣道でもかまわない。

その先に何があるのか、道がどんなふうに続いているのか、ただそれだけが心を惹きつけてやまないのだ。

そういう走りは、誰かと一緒では無理な話だ。もし、それが共にできるバイク乗りと出会えたとしたら、一生の宝物に違いない。

だけど、記憶に深く刻まれた出会いも無いわけではない。その話は、また改めて綴ります。

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