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シーズン2第14章:旧友とバイク

バイクと旧友 Season 2

私には友人が何人かいる。

いずれも50年来の付き合いだ。

今では良くて月イチ会える友が1人、あとは年に2度も会えれば良い方だ。

それほど遠い場所に住んでいるわけでもないのに。

しかし、久しぶりに会っても会話と気持ちは、いつも変わらない。

そして、たいして会ってもいないし、電話なんてまったくしないのに、誰よりも私を理解していると感じる事が多々ある。


とうとう自分のバイクを所有して、乗りたい時に乗れるようになった 長年漠然と抱えてきた思いが、実現したのだ

シーズン2は、より遠くへ行くことよりも、無理なく少しずつ カッコつけではなく、ゆっくり確実丁寧に走ることを大切にしよう

みどりのシカ







旧友とバイク

旧友とバイク

昨年、とうとう念願かなって中古バイクを購入した。

さて、友人たちには言うべきか。

一人の友人には真っ先に報告した。

彼女は、私が十数年前に故郷にUターンした頃から、私にさりげなく言った。

また、バイク乗ったらいいさ。



バイクに乗らない旧友

バイクに乗らない旧友

なんだこの人は、と私は驚いた。

お金も無いし、齢は50代に突入していた。バイクをおりてから既に20年以上経っている。

何言ってるんだろう。と、私はなんで?と聞いてみた。

バイクがあれば、どこでも行けるし、楽しいでしょ?

通勤もできるし。 と、彼女はあっさり言ってのけた。

なぜ、バイクに乗らない彼女が、そこまで私の気持ちを理解しているのか、本当に驚いた。


バイク女子時代の私が今までの人生で一番輝いていた事を、友人達は見てきたのだろうか。

まったくもって、旧友ほどありがたい存在はない。



旧友たちの心配ごと

旧友たちの心配ごと

他の何人かには、かなり時間が経過してから打ち明けた。

内緒にしていても、いつか何かあったときに、なんで言ってくれなかったのかと責められそうだから。

ただひとつ問題があるとすれば、その友人たちの中に誰一人としてオートバイに乗る者がいないということだ。

地域がら、ほとんどの友人はマイカーを所有している。しかし、バイクと車ではかなりの意識の違いがある。

というわけで、ひとりを除いてバイクへの理解は期待出来ないと言っていい。



バイクを買った事を打ち明けた友人たちは、皆同じことを心配して、微妙な表情をした。

お金大丈夫なの?生活は? 皆、そう言った。


危ないとか、齢だからとか、そういう理由で心配した友人は一人もいない。

これもまた、ある意味、私のことをとても良く理解していることに他ならない。

そして、諦めたような微妙な表情でこう言うのだ。

気を付けてね。




バイクに乗るか、友に会うか

バイクに乗るか、友に会うか

いちおう仕事をしているので、自由な休みは限られている。

バイクに乗るか、友に会うか。

二者択一を迫られることもたまにある。

バイクを買った時期は舞い上がって、これからはバイク優先の人生だと考えていた。

毎年変わらない、友人達とのお茶や旅行が邪魔くさく思えたほど、驕り高ぶっていた時期もある。

この際仕方ない、私のバイク人生は限られているから、友人達との時間は二の次だ。


そこでバチかあたった。と、自分には思えた。

決まったばかりの新しいパートを休んで、ずっと行きたかった桜の大木を見に行った。

バイク復帰してから、2度目の一泊ツーリングだ。

2日目に桜に会いに行き、桜を見下ろす場所で写真を撮った。

そこで、スタンドで固定したはずのバイクがペタリと倒れた。

左足の甲が下敷きになった。

ギアチェンジができず、バイクはレッカー移動。

足は骨折と翌日知った。 桜の神さまに叱られた、と私は思った。

採用してくれたパート先も、自分を思ってくれている旧友たちのこともないがしろにしようとしてたから。



バイクと旧友は二者択一じゃない

バイクと旧友は二者択一じゃない

その後、一ヶ月、バイクに乗れない日々に、地元の旧友に会ったり、遠方の友と旅の計画を相談して決めたりした。

そっけなくしたことを詫びながら。

そして、旧友たちの存在がいかにありがたいものだったかを思い知った。

パートに復帰した際、バイクで怪我をしたと言った時の上司と仲間の反応も忘れられない。

やっぱりな、そんな空気を感じた。

バイク人生も大事だし、貴重な時間だけど、それ以上に大切なものを忘れてはいけないなと、思い知った出来事だった。




バイクに乗る時は乗る、友人に会うときは会う。

仕事よりツーリングを優先できる身分じゃない。それらは天秤にかけられるものではないのだ。

くれぐれも道を誤ってはいけないね。



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