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シーズン2第16章:温泉ツーリング後編 石巻、海沿いの町の山の宿

海沿いの町の山の宿 バイク女子

結局、宿にお願いしていたチェックインの時間より1時間遅れて到着した。

思っていたよりずっと山の奥で、口コミにあった通りの狭路だった。

険しいとコメントのあった北側からのアクセスは避けて、北上川からの経路を選んだ。

山から流れてきたばかりの小川に沿った、アップダウンの少ない穏やかなワインディングロードだった。

午前中というのに薄暗い道を進んで行くと、不意に道の正面に明るい色の建物が現れる。

日が当たって山の木々と敷地内の大木の間で存在感を放っている。



とうとう自分のバイクを所有して、乗りたい時に乗れるようになった 長年漠然と抱えてきた思いが、実現したのだ

シーズン2は、より遠くへ行くことよりも、無理なく少しずつ カッコつけではなく、ゆっくり確実丁寧に走ることを大切にしよう

みどりのシカ





石巻、海沿いの町の山の宿

石巻、海沿いの町の山の宿



着いた。

敷地の入り口には、印象的な大木が一本。

想像していたよりずっと立派で広く、建物も複数棟あって思っていたより規模が大きい。

敷地の2カ所ほどにマニアックな車が何台も並んでいる。なぜか赤い車の下に集中して、猫たちが寝そべっている。



この日もかなり暑い一日だった。

バイクを止める場所を聞き、仲間から外れているらしき黒猫の写真を撮る。

荷物を下ろし、Gジャンを脱いで玄関に入る。

チェックインして部屋へ。


手入れが行き届いた心地よい場所

手入れが行き届いた心地よい場所


2階のその部屋は、猫たちが寝ている車を見下ろす位置にあった。

1人には十分すぎる広さがあり、レトロな窓枠の大きなガラス窓からは、道の向こうの山側の緑が全面に見えていた。



まずはお茶を淹れてくつろぐ。

窓を開けたいが、湿度と気温がまだ猛暑のそれだ。部屋はエアコンで快適な環境に整っていた。



浴衣に着替え、お風呂へ向かう。

古い建物がきちんと手入れされていて、傷んでいる印象は全くない。浴場もしかり、きれいに整えられている。



檜風呂に改装して間もないらしい。内風呂ではあるが、窓から緑がふんだんに見え、開放感のある広い浴室になっている。

開け放った窓からは、外の風が入るだろうが、今日は風が止んでいるようだ。

季節を選べば、さぞ気持ちが良いことだろう。

この蒸し暑い真夏でも、熱めの湯につかり、浴室を出るとさっぱりと気持ちがいい。

温泉とは言っているが、正確には鉱泉というか湧水だ。かつて金鉱だった場所から流れる湧水を沸かしている。


金が混ざっていたら素敵だね。



ゆったりとした時の流れ

ゆったりとした時の流れ


廊下の外の愛車を見る。

雨に備えて後でシートをかけに来ようと思っていたが、結局そのままにしてしまった。

なぜシートがあるかというと、借りているバイク置き場と自宅が離れているからだ。

つまりシートなどの置き場所が無い。走るときはいつも荷物と一緒に積んである。

廊下の本棚から伊坂幸太郎の本を借り、部屋に戻る。

本を読むともなく、既に敷いてあった布団の上でゴロゴロ過ごす。


窓の外が薄暗くなった頃、電話が鳴った。



心づくしのお盆

海沿いの町の山の宿

楽しみにしていた夕食だ。


宿の主人が料理人で、地元の食材を使ったこだわりの食事を用意してくれる。

贅沢をしたいわけでもなく、量もほどほどで十分。旅の資金も限られていたので、一番安いコースにしてもらった。

つまり、料理の内容によって宿泊料金が決まる。



部屋はたぶん、空いていたから、広い良い部屋を用意してくれたのだろう。

三陸は海の幸山の幸に恵まれ、それらを使った料理はどれも満足のいく美味しいものばかりだった。

ウニまで付いて、私にはとても贅沢な食事だった。

資金を抑えたいとはいえ、蒸し暑い夏に生ビールは外せない。

ジョッキで一杯いただいた。

大きな観光ホテルの食事は見栄えが良いが、こういう一軒宿や民宿の料理はホテルではお目にかかれないものばかり。

料金もホテルよりずっとリーズナブルだ。

私がバイクに乗るのは、たいてい早朝だから、前日はアルコールを飲まないことにしている。

しかし、旅の空は別ものだ。

気持ちよく美味しくいただいた。


部屋に戻り、ゴロゴロして本を読む。



夜半の雨

外は本降りの雨。

愛車のティーダにシートをかけてあげに行きそびれた。



まあ、いいか・・・ごめん。


夜半にかけて、雨はますます強くなった。

寝る前に、もう一度温泉へ。

平日とあってぽつんとひとり。


宿泊棟から渡り廊下で繋がっている浴場は、日中、日帰り温泉をやっていて、昼下がりの時間帯には、2組ほどの客がいた。地元の常連客のようだった。

ティーダには悪いが、土砂降りの音を聞きながら、私は早めにぐっすり眠った。



名残惜しい朝

名残惜しい朝

翌日、夜明け前に目覚めてお茶を飲み、入浴可の時間まで待つ。

うっすらと夜が明けてくる頃、浴衣を軽く整えて、タオルを持ってお風呂へ向かう。

雨は止んでいる。


熱めのお湯にさっと2回浸かり、名残惜しみつつ脱衣室を出る。

部屋でジーンズとティーシャツに着替え、広間で軽めの朝食を取る。

ゴロゴロはしていられない。


猛暑の暑さが本番になる前に帰路に着きたい。

それに、空は晴れている。昨日行けなかった海岸に戻って、海を見ながら走って来よう。

さあ、荷物を積んで出発だ。


バイクに近づいて、呆気にとられた。

黒いシートと黒いバッグが猫の足跡だらけだったから。泥んこの足跡だ。

可愛いと言えば可愛いのだが、そうも言っていられない。

ゴシゴシ拭いて、今度こそ出発だ。



北上川沿いに

北上川沿い

北上川河口から北に向かう。

砂浜の海岸に沿った道は、それほど長くはなかった。まもなく上り坂が始まり、道は海岸から離れていく。 Uターンして、北上川沿いをしばらく走る。

葦の景勝地らしい。

素晴らしい開放感の中を、川上に向かって走る。

風が強い。


人気の道の駅でトマトソフトクリームを食べ、お昼は途中のラーメンチェーン店でとんこつ塩ラーメン。

ずいぶん汗をかいたから、ラーメンの塩味が身体に染みた。

ラッキーなことに、石巻あたりを走っている時、ブルーインパルスの訓練飛行をたっぷり見た。



石巻市、追分温泉への旅

石巻市、追分温泉への旅

たった2日間、往復200km程度のツーリングだが、素晴らしい旅だった。


今回の宿は、石巻市、追分温泉。

地元民にも愛される隠れ家的宿だ。





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