2022年秋、PCX e:HEV(ハイブリッド)が生産終了となりました。
なぜ、生産終了になったの?
そんな疑問を解消します。
『世界初のハイブリッドバイク』が受け入れられなかったためです
売れなかった
その理由は4つ
- 目的(走る喜び)が解り難い
- ハイブリッドのメリットが期待外れ
- PCX160のメリットを受けられない
- デメリットが多い
メリットよりデメリットが大きかった
でもハイブリッドの目指したものは、次期EVのPCXに引き継がれるはず
こんな内容を知って、スッキリしよう。
良いバイクなんだけど、良さが解り難いのが難点だった。
PCX125・PCX160の良いとこ取りだったはすが、そうは成れませんでした。
でも、ムダじゃなかったはず。
PCXハイブリッドのデータは来るべきEV PCXに引き継がれるでしょう。
実際にPCX e:HEVを購入し、2年乗り続けた上での感想なので
間違いない
PCX e:HEV(ハイブリッド)の目指したもの
- 2017年東京モーターショー
世界初のハイブリッドバイクを発表
『走る喜びの新たな提案。
二輪車初、ハイブリッドシステム採用PCX』
- 2018年3月PCX フルモデルチェンジ
3代目PCX(JF81)に移行
- 2018年7月PCX HYBRID 発売
「機敏なスロットルレスポンスと高い動力性能」を実現
- 2018年11月PCX PCX ELECTRIC リース開始
EV PCXはリース専用
1充電で、41km(60km/h定値走行) - 2020年12月PCX フルモデルチェンジ
4代目PCX(JK05)に移行
『PCX HYBRID』 は、『PCX e:HEV』に名称変更し継続 - 2022年5月PCX ELECTRIC (EV) 終了
- 2022年10月PCX e:HEV(ハイブリッド) 終了
- 20xx年EV PCX ??
2017年、東京モーターショーでデビューした
『PCX ハイブリッド』。
世界初、バイクのハイブリッドシステムは未来を感じさせました。
2021年のフルモデルチェンジで、『PCX e:HEV』と名称変更。
そして4年間の時を超えて、PCXハイブリッドは終了しました。
時を同じくして、PCX ELECTRIC (EV)も生産終了しました。
ハイブリッドで目指したものは、何だったのでしょうか?
PCX ハイブリッド化の目的
ハイブリッドシステムには駆動用バッテリーや複雑な制御システムが必要となり、重量増につながるのが一般的でした。PCX HYBRIDに採用したシステムでは、重量増による運動性能の低下を避けるため、ガソリンモデルのPCXのボディーに収まるコンパクトな構造とし、誰もが「走る喜び」を味わえることを目指しました。
ホンダ公式を引用
PCXハイブリッドの目的は、
『走る喜び』
ハイブリッドと言うと、どんなイメージを持つでしょうか?
プリウスを筆頭に、ハイブリッドの恩恵は『低燃費』です。
- 減速時・定常走行時の余剰エネルギーを貯めておき
- 低速ではモーター走行し、ガソリンの使用を減らす
しかし低燃費を実現しようとすると、巨大なバッテリーが必要になります。
バイクに巨大なバッテリーを積むのは、スペース的・運動性的にムリ。
だから、『走る喜び』。
走る喜び
125ccでは味わえない加速を
ハイブリッドのチカラで味わえるのが
走る喜び
4秒間限定
バイクの楽しさには、色んな側面があります。
- 自由
- 安価
- パワー
高級スポーツカーでしか味わえない加速を容易に手に入れられるのも、バイクの大きな魅力です。
基本的には、パワーを求めるなら排気量アップが一番容易で、効果的です。
しかし、125ccという限られた排気量ではパワーアップは難しい。
そこで、PCXハイブリッド。
加速の4秒間、モーターアシストを追加して
『走る喜び』を増幅させました
ハイブリッド化には、重くて大容量のバッテリーが必要です。
バイクに積むのは不可能。
しかし、モーターアシストを加速の4秒間だけに限れば、バイクにも積めるバッテリ量になります。
125ccなのに、150ccクラスの加速が得られました。
『走る喜び』です。
カスタムで走る喜びを得るなら、ココ
PCX125・ハイブリッド・160のスペック比較
ハイブリッドシステムにより、『走る喜び』を求めたのだけれど、生産終了となりました。
なぜ、ユーザーに届かなかったのでしょうか?
その理由は、PCX125、ハイブリッド、160のスペックを比べると見えてきます。
スペック比較 | PCX125 | PCX e:HEV | PCX160 |
全長・全幅・全高 | 同じ | ||
重量 (kg) | 132 | 136 | 132 |
最高出力(kW/rmp) | 9.2 | 9.2 +1.4(モータ) |
12 |
最大トルク(Nm/rpm) | 12 | 12 +4.3(モータ) |
15 |
燃費(km/L) 60km/h定地 | 55.0 | 55.4 | 53.5 |
燃費(km/L) WMTCモード値 | 47.4 | 51.2 | 45.2 |
シート下収納容量(L) | 30 | 24 | 30 |
価格(円) ※2022年 | 357,500 | 448,800 | 407,000 |
PCXハイブリッドが、PCX125・PCX160と違うのは、表の色付けした部分。
PCXハイブリッドのパワーは、PCX160並み
PCXハイブリッドのエンジンは、基本的にはPCX125と同じ。
エンジンは同じだけど、モーターアシストが付加される。
加速時3秒間はモーターアシストが付加され、3秒を過ぎると1秒でアシスト0になる。
計4秒。
加速時なので、最高出力よりはトルクが効いてきます。
- PCX125の最大トルク:12
- PCXハイブリッドの最大トルク:16.3
- PCX160の最大トルク:15
PCXハイブリッドのパワーは、PCX160並みです
他にメリットが挙げられないのが辛い。
PCXはリアサス交換で、もっと楽しくなる
なぜ、PCXハイブリッドが終了になったのか? 理由は4つ
PCXハイブリッドが受けなかった理由は、4つ
- 目的(走る喜び)が解り難い
- ハイブリッドのメリットが期待外れ
- PCX160のメリットを受けられない
- デメリットが多い
1.なぜ、PCXハイブリッドが終了になったのか?【目的(走る喜び)が解り難い】
目指した『走る喜び』を受けられる場面が限られてたのが敗因
- 125ccの加速で大きな不満は無い
ワインディングや2人乗りでしかメリットを感じない - 160ccのメリット、自動車専用道路・高速道路に乗れること
PCXハイブリッドでは叶わない
乗り比べればPCX125とPCXハイブリッドで、明らかに加速力は違います。
PCX125では苦しかったワインディングも、PCXハイブリッドなら元気よく上る。
モータアシストの効く4秒間だけだけどね。
下道ならPCX125で何の不満もない。
ワインディングで飛ばしたり、2人乗りをしなければ
PCX125で十分
車の流れに乗ることも容易い。
比べるとそら、PCXハイブリッドの方が力強いけど、比べなきゃ何の不満もありません。
PCX125の出来がいいため、十分満足なのです。
『走る喜び』がPCX125にも十分あるため、ハイブリッドの『走る喜び』が解り難かった。
詳しくは、ココ
2.なぜ、PCXハイブリッドが終了になったのか?【メリットが期待外れ】
一般的なハイブリッドのメリット | PCXハイブリッドの実際 |
低燃費 | PCX125と大差ない |
静粛性 | PCX125と同じ |
環境親和性 | バッテリーの分悪い? |
加速がいい | PCX160と同等 |
エンジン寿命が長い | 理屈的には長くなるはず |
維持費 | PCX125と同じ |
意識高いと思われる | ハイブリッドに気付かない |
下取りが高価 | 値落ち率は大差ない |
ハイブリッドという言葉から想像するメリットを
ほとんど受けられなかったのも敗因
1回の給油で500km走って欲しかった
ハイブリッドという言葉は、車で既に慣らされてます。
そこからイメージするハイブリッドのメリットは上記の8項目。
中でも一番メジャーなメリットが、『低燃費』。
しかし、PCXハイブリッドは、PCX125と10%しか燃費が変わらない。
乗り方で逆転するレベルです。
小さなバッテリーしか積んでないので致し方無いけれど
期待外れと感じた人も多い
1給油で500km走って欲しかった
PCXハイブリッドは、ハイブリッドのメリット8つの内、1つ(加速)しか満たしてない。
ハイブリッドのメリットが少なく感じるのは仕方なし。
PCXハイブリッドの差別化が困難だった
せめて渋滞のノロノロくらい
EV走行してほしかった
車並みのバッテリーを積めなかったので、EV走行できない時点で苦しい戦いです。
低燃費・静粛性は望めない。
となると、付加価値にメリットを求めるしかないけれど、
PCX125と見分けが付き難い時点で、付加価値は望めません。
意識高い系に見られないし、下取りが高額になることもない。
PCXではなく、ハイブリッド専用車なら結果は変わったのかもしれません。
でも、PCXハイブリッドは将来的に希少価値が出るかも?
どうでしょう。
PCXにトップケースは、定番
3.なぜ、PCXハイブリッドが終了になったのか? PCX160同等のメリットが無い
PCX160を選ぶ人は、パワーを求めて160を選択してない
どこでも走れる自由を求めて選択してる
PCXハイブリッドには、それが無いのが敗因
PCX160のメリットは、自動車専用道路・高速道路を走れること。
日本の道は何処でも走れるのがメリットです。
(一部、二輪禁止道路は除く)
高速道路をPCX160で常用する人は居ないと思うけど、ツーリングの選択しとなるのは大きい。
一方、PCXハイブリッドは、あくまで125cc。
いくらPCX160同等の加速と言っても、自動車専用道路・高速道路を走れる訳じゃない。
だから、ハイブリッドの加速力の恩恵を受けられる場面が限られる。
- フル加速しない街中
- 郊外の一定速度での巡行
こんな使い方では宝の持ち腐れになってしまう。
日本では、PCに2人乗りする人は多くないので、日常的にパワーの恩恵を受けづらい。
PCX150の高速道路インプレは、ココ
4.なぜ、PCXハイブリッドが終了になったのか? 【デメリットが多い】
一般的なハイブリッドのデメリット | PCXハイブリッドの実際 |
バッテリーの寿命 | 特に壊れやすいという情報は無い |
複雑化による故障率アップ | 特に壊れやすいという情報は無い |
重量増 | 4kg増を認識出来ないが、絶対悪 |
価格アップ | PCX125の9万円アップ PCX150の4万円アップ |
静か過ぎて危険 | EV走行しないので該当せず |
シート下収納容量減 | 痛い!長尺物は入らない |
ハイブリッドが万能なわけではありません。
ハイブリッドのデメリットと言われるのが、この6項目。
PCXは2つが当てはまる。
- シート下収納が少ない
- 価格がPCX160以上
メリットが解り難いのに、デメリットは解りやすい
どちらも、痛い。
シート下収納が少ない
シート下収納の後半部分にハイブリッド用バッテリーが入りました。
このため、後半部分の収納が無くなった。
シート下収納は、容量が小さくなるののも痛いが、前後方向の長さが減ったのも痛い。
長尺もの、ラケットとかネギとかが、入れられない。
スクーターの特徴の1つが、大容量のシート下収納です。
それが削がれるのだから、ダメージは大きい。
PCXハイブリッドの価格はPCX160越え
PCXハイブリッドの燃費が、PCX125の倍くらい良ければ
納得できるのだが
- PCX125の9万円アップ
- PCX160の4万円アップ
ハイブリッド化にしたメリットが薄いのがPCX。
価格アップに見合うメリットを見出すのが難しい。
PCXに入るフルフェイスなら、ココ
なぜ、PCXハイブリッドが終了になったのか? まとめ
PCXの目指した『走る喜び』
それは、次期PCX EVに受け継がれるはず
PCX e:HEV、PCXハイブリッドは、間違いなくいいバイクです。
だけど、その良さがわかりにくいのが残念でした。
- 1給油で500km走る
- PCX160より安いのにPCX160同等のパワー
- EV走行ができる
- PCX160より安い
こんな解りやすいメリットがあれば、終了になることは無かったはず。
おそらくPCXハイブリッドが復活することは無いでしょう。
しかし、ほぼ同時期に終了となったPCX EVは、復活するはず。
PCXハイブリッドの目指した『走る喜び』は、EVに引き継がれるでしょう。
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