- 空冷エンジン
- 水冷エンジン
自分のバイクがどっちかは、知ってるよね。
水冷エンジンなら、もちろん冷却水(クーラント)が入ってる。
冷却水(クーラント)のメンテしてる?
何すれば、いいの?
オイルみたいに交換するの?
そんな疑問を解消します
水冷エンジンが空冷より高出力なのは、冷却水のおかげ
高出力を保つには、冷却水に2種のメンテをしよう
- 継ぎ足し(日常メンテ)
リバーザータンクが減ったら、継ぎ足す - 交換(定期メンテ)
2~5年で全交換
ともに難しい作業じゃないので、初心者でも可能
こんな内容を知って、スッキリしよう。
冷却水(クーラント)はエンジンオイルと同様に消耗品です。
不足したり、古かったりするとエンジンのパフォーマンスが落ちます。
初心者でも簡単な作業なので、メンテ方法を知っておこう。
バイク冷却水(クーラント)の役目と劣化
一般的には、空冷エンジンより水冷エンジンの方が高出力です。
例えば、この2台。
同じ125ccでも最高出力に差があります。
- ハンターカブ(空冷):6.7kW
- PCX(水冷):9.2kW
ここに冷却水(クーラント)の役目があります。
単なる水だと軽視すると、
エンジンを壊してしまうかも
冷却水(クーラント)の役目
冷却水(クーラント)の役目は、エンジンを一定温度に保つこと。
オーバーヒートがマズいのと同様に、冷えすぎもエンジンにとっては良くありません。
エンジンが適切な動作温度で維持されて初めて、効率的な燃焼とパフォーマンスが得られます。
だからエンジンが温まるまでは、冷却水は循環しません。
適温になると初めてラジエーターとの循環が始まり、ラジエータ放熱が始まります。
だから冷却水(クーラント)は、エンジンの発汗とも言える。
水分が足りなくなると、大変!
冷却水(クーラント)の特性
- 冬でも凍らない
- 防錆性がある
- 防腐性がある
ただの水でもいい気がするけど、専用の『クーラント』と呼ばれる液体が入ってます。
なぜでしょうか?
3つの特性により、水冷エンジンを快適に保つためです。
1.冬でも凍らない
冷却水が凍ってしまうと、エンジンは壊れる
例えば、クーラントの替わりに普通の水を入れたとしたら?
冬に凍ってしまう。
エンジン回りの冷却水はエンジンの熱で溶けるけど
ラジエータ内部の冷却水は熱源が無いので、いつまで経っても凍ったまま。
となると、冷却水が循環できずにアッと言う間にオーバーヒートしてしまう。
さらに、液体は凍ると体積が増えます。
冬に水道管が凍って破裂するのと同様に、バイクの冷却水経路にヒビがはいってしまう。
廃車コースですね。
ライダーの冬装備は、ココ
2.防錆性がある
冷却水で経路がサビたら、エンジンは壊れる
例えば、クーラントの替わりに普通の水を入れたとしたら?
サビてしまう。
冷却水の経路がサビると、サビにり詰まったり・穴が開いたり。
エンジンは冷えなくなってしまう。
廃車コースですね。
バイクのサビ対策は、ココ
3.防腐性がある
冷却水が腐ったら、エンジンは壊れる
例えば、クーラントの替わりに普通の水を入れたとしたら?
水が腐ってしまう。
粘度が変わり詰まり易くなり、防錆性が落ちてサビる。
エンジンは冷えなくなってしまう。
廃車コースですね。
ネジを舐めてしまったら
冷却水(クーラント)の種類は3パターン
クーラントにも、色んな種類があります。
大きく分けると3パターン。
- 2年交換タイプか、超寿命タイプか
- 原液タイプか、希釈タイプか
- 赤・青・緑などの色違い
3つの組み合わせで、さまざまなクーラントが発売されてます。
バイクには、どんなタイプでも使えるので、好みで選べば良い。
おすすめは
2年交換の原液タイプで、色は今と同じもの。
- 2年毎に交換なら、他の部分のチェックにも良い周期
- 冷却水を水で薄めるのは面倒
- 色を混ぜるのは、変な色になるので問題外。
1. 2年交換タイプか、超寿命タイプか
- クーラント:2年で交換
- スーパークーラント:4~10年で交換
10年を選べば、ほぼメンテフリー。
つぎ足すだけでいい。
だけど、高価。
メンテが苦にならないなら、普通のクーラントがおすすめ。
メンテのついでに、ラジエーター・水路の点検もできるからね。
2年に1回くらいチェックしておきたい。
2年と言いながら、4~5年くらいは普通に使えたりもする。
良い子はマネしないで!
2.原液タイプか、希釈タイプか
- 原液タイプは、水で薄めずにそのまま使うタイプ
薄める手間が省ける - 希釈タイプは、水で薄めて使うタイプ
好みの濃さにできるし、保管場所を取らない
おすすめは、原液タイプ。
水で薄める手間が要らないからね。
希釈タイプなら、
- 夏:熱効率が良いように、薄めに希釈
- 冬:凍結しないように、濃いめに希釈
なんてことが出来たりもするけど、
-40℃以下になるような気候でなければ、気にする必要は無い。
3.赤・青・緑などの色違い
色による性能差はありません
好みの色でOK!
クーラントには、赤・青・緑などの色がついてます。
だけど、色による性能差はありません。
あっ!
クーラントが漏れてる!
漏れたときに、水と間違わないように色がついてるだけ。
色自体に意味は無いので、好みの色に変えてもOKです。
色を混ぜてもOKだけど、汚い色になりがち。
色を変えるのは、クーラントを全交換するときにするのが、おすすめ。
ついでに、オカルトチューンを試す?
バイク冷却水(クーラント)のメンテ方法!【継ぎ足し】
冷却水(クーラント)の日常メンテは簡単です。
量は足りてるか?
足りてなかったら、継ぎ足すだけ。
- 量が足りてるかチェックして
- 足りてなかったら、同じクーラントを用意
- 『UPPER』レベルまで継ぎ足す
1.量は足りてるか、チェック
冷却水(クーラント)のサブタンクの位置を知ってますか?
覗き込むだけで量が足りてるか解ります?
冷却水が過不足無いかは、サブタンクを見れば解ります。
- 蒸発して減ったら
予備タンクから補充 - 温度が上がって体積が増えたら、
予備タンクに冷却水を退避
冷却水はだんだん蒸発して減っていくものです。
減っても大丈夫なように、予備の冷却水を貯めておくのがサブタンク。
サブタンクにはUPPER/LOWerのメモリがあって、この間に液面があればOK!
PCXのメモリは、見難いけどね
PCXの冷却水(クーラント)のサブタンク位置は、右側の足元の下です。
写真では冷却水の液面が見ずらく映ってるけど、
実物はもっと見難い。
UPPER・LOWERの文字もうっすらしか見えない上に、液面もぼんやり。
通常、冷却水(クーラント)は、2年交換なので、
エンジンオイルほどシビアに管理する必要が無いからなのか、こんなもの。
2.足りてなかったら、同じクーラントを用意
冷却水が減ってたら、冷却水を継ぎ足そう
なるべく同じ冷却水(クーラント)がいい
冷却水(クーラント)が『LOWER』レベル以下だったら継ぎ足そう。
なるべく、同じクーラントを継ぎ足したい。
混ぜても滅多なことは起きません。
でも万一、何らかの反応が起きて、固まったり性能が落ちたら嫌だからね。
サブタンクから見える色と同じ色の2年タイプを買えば、間違いない。
3.『UPPER』レベルまで継ぎ足す
サブタンクのフタを開けて
『UPPER』まで継ぎ足すだけ
ラジエーターを開けて注ぎ足す必要はありません。
サブタンクに継ぎ足すだけでOK。
ただし、PCXはサブタンクがカウル内に埋め込まれているので1手間掛る。
手順を知っておこう。
1.右側フロアマットをめくって
フロアマットは、ゴムの弾性で固定してあるだけ。
手で持ち上げれば、ベリベリ剥がせます。
2.サブタンクへの目隠しふたを取る
赤枠の目隠しふたの下に、冷却水(クーラント)のサブタンクが有ります。
マイナスドライバでこじれば、目隠しふたは剥がせます。
サブタンクを開けて、継ぎ足す
やっとサブタンクが露出したので、ゴムのフタを取って継ぎ足そう。
大きな冷却水(クーラント)の容器から直接注ぐのはムリ。
小さなボトルに詰め替えてから、継ぎ足そう。
ペットボトルの先端を切り取ってじょうごにするのもアリ。
継ぎ足すのは、エンジンが冷えている状態で行おう
エンジンが熱いときは、冷却水が膨張しているのでサブタンクに多めに入ってます
エンジンが冷えると、サブタンク内の冷却水はラジエータに吸われて減少します
だから、エンジンが冷えているときに継ぎ足さないと、正しい残量にならない
また、たくさん入れた方が良いかと、『UPPER』レベルを超えて入れると
エンジンが温まった時に冷却水が膨張して吹きこぼれてしまう
適量を守ろう
オイル交換してる?
規定量まで、継ぎ足したら完成
『LOWER』『UPPER』の間に液面が来れば、OKです。
フタやフロアマットを元に戻して完了。
チョット位は入れ過ぎても大丈夫だけど、なみなみと入れてしまったら、ボトルで吸いとっておこう。
エンジンが温まってサブタンクの冷却水が増えた時に溢れてしまうからね。
ついでにプラグ交換もしておく?
バイク冷却水(クーラント)のメンテ方法!【交換】
最期にバイク冷却水(クーラント)を交換したのは、いつ?
2年以上前だったら、全交換の時期です。
冷却水が古くなっても、急にエンジンが壊れるようなことは無いけれど、
エンジンが冷えずにオーバーヒートし易くなったり、出力が落ちたりします。
難しい作業じゃないので、チャレンジしてみよう。
PCXの場合、カウルの中に水冷系が埋まってるので、カウルを剥ぐのにひと手間がかかります。
カウルを剥ぐのが、最難関かもしれない。
手順は6つ。
- 右側フロアサイドカバーを外す
- ラジエータカバーを外す
- ラジエータから冷却水を抜く
- サブタンクから冷却水を抜く
- 新しい冷却水を入れる
- エア抜きをする
1.右側フロアサイドカバーを外す
PCXのカウルは、ツメとねじで複雑に固定してあります
力づくでは、必ずカウルを割ってしまう
カウルの構造を理解した上で行おう
いきなり右側フロアサイドカバー・ラジエーターカバーを外した写真です。
右側フロアサイドカバーの中に、水冷系が埋まってるのが見えます。
この状態になって、初めて冷却水(クーラント)交換が可能になります。
力づくでは、カウルを割ってしまうけど
落ち着いて順を追って行えば、難しくない。
初心者でも可能です。
2.ラジエータカバーを外す
黄丸にある3つのボルトを外し、ラジエーターカバーを取り外します。
左下部のボルトは深い位置にあるため、ディープソケットじゃないと届きません。
深い位置にあるボルトは、ままあるのでディープソケットセットは持っておきたい。
これが無いと、ここまできて作業がとん挫してしまう。
これで外すものは全ては外しました
やっと冷却水(クーラント)交換に着手出来ます
3.ラジエータから冷却水を抜く
ラジエータの冷却水を抜くには、まずラジエータキャップを外します。
ラジエータキャップの劣化が気になるなら、交換。
ラジエータのドレインボルトは、トルクスねじ
シールは、交換しておきたい
次にラジエータのドレインボルトを抜きます。
黄丸が、ラジエータのドレインボルトです。
トルクスねじなので注意。
頑張れば手でも回せそうだけど、締めるときに困るから素直にトルクスを用意しよう。
ドレインボルトにはシールが入ってます。
水漏れが気になるので、できれば交換しておきたい。
ドレインボルトを抜けば、冷却水(クーラント)が出て来るので、受け皿を用意しておこう。
クーラントは有害物質です
そのまま下水に流すのはNG
バイクショップに持って行き処分してもらうか
廃油のように固めてゴミ出しする必要があります
アウトドア用の汁物凝固剤で冷却水(クーラント)を固められます。
便利!
4.サブタンクから冷却水を抜く
サブタンクは、赤丸のボルト1本で固定してあるだけ。
これを外せば、裏返してサブタンク内の冷却水(クーラント)を排出できます。
ラジエーターから排出された冷却水(クーラント)と合わせて、適切に廃棄しよう。
5.新しい冷却水を入れる
- ラジエータキャップを外し、冷却水を目いっぱい入れる
- サブタンクにUPPERまで冷却水を入れる
冷却水(クーラント)容器から直に入れるのは難しい。
じょうごを使うか、ボトルに入れ替えて入れよう。
写真のように、ペットボトル先端を切り取った簡易じょうごでもOK!
サブタンクをボルト1本で固定してから、UPPERまで注ごう。
6.エア抜きをする
エンジンを掛けて
水冷系に入り込んだ空気を抜いておこう
空気を噛んでいると排熱効率が悪いので、エア抜きしておきます。
エア抜きと言っても、難しいことをするわけじゃない。
ラジエータキャップを開けたまま、エンジンを掛けてしばらく待とう。
入り込んだ空気がポコポコと抜けて来るのが、ラジエータキャップ部から見えます。
エア抜きによって冷却水の液面が減ったら、ボトルに小分けした冷却水を足します。
液面が安定したら、冷却水交換完了!
撤収に入ろう。
- ラジエーターキャップ
- ラジエータカバー
- カウル
元通りに取り付けたら、作業完了です。
ネジが余らないようにね!
最期に空気圧もチェックしておこう
バイク冷却水(クーラント)のメンテ方法!まとめ
水冷エンジンにとって冷却水(クーラント)は排熱の命綱です。
だけど、エンジンオイルほど大事にされていない。
乗車前に、冷却水のチェックをしてますか?
もしかすると、サブタンクがカラになってるかもしれない。
今すぐ、確かめよう!
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